2005年4月8日(金)「しんぶん赤旗」

「ゆうメイト」に朗報

有休とっても収入減らない

取得時の深夜手当支給へ


 郵便局で午後十時から午前五時までの深夜帯に働く非常勤職員「ゆうメイト」にこの春、朗報が届きました。これまで、「ゆうメイト」が有給休暇をとった場合、深夜手当がまったく支払われてなかったものが、四月から割増賃金を支払うことになりました。粘り強く改善を要求してきた郵産労(郵政産業労働組合、全労連加盟)と「ゆうメイト」の連携と運動で実った成果です。

 (原田浩一朗)


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宣伝する郵産労の組合員=東京中央郵便局前

 「本当ですか」「すごくうれしい」。「ゆうメイト」から喜びの声が次々と寄せられています。

 「すぐには信じてくれない『ゆうメイト』の仲間もいましたよ」。JR東京駅前にある東京中央郵便局で活動している郵産労支部の上野充弘委員長は苦笑いします。

 東京中郵には「ゆうメイト」が多数働いています。支部は組合ニュース号外を発行し、改善された中身を知らせました。

過去5年間是正

 日本郵政公社が郵産労に示した文書「非常勤職員が年次有給休暇を取得した場合の取扱い」は、(1)四月一日から、午後十時から午前五時までの深夜割増賃金の対象となる時間帯を含む勤務の非常勤職員が有休を取った場合は、基本賃金に加え、深夜割増賃金(原則として30%割増)を支払う(2)始業時刻が午前五時から午前七時の間にある勤務、または終業時刻が午後九時から午後十時の間にある勤務の非常勤職員が有休を取った場合は、基本賃金に加え、早朝・夜間割増賃金を支払う―というものです。

 過去五年間にさかのぼって是正し、「すでに退職している非常勤職員も対象」といいます。

要求ついに実現

 週三回、午後七時十五分から翌朝午前八時三十分まで実働十一時間勤務のAさん(33)は「ゆうメイト」歴が九年です。

 基本賃金(時間給)が千五十円で、有休を取ると、これまで一万一千五百五十円の賃金でした。今回の是正で六時間分の深夜割増賃金千八百九十円が加算され、一万三千四百四十円に増えます。年二十日の有休があり、一回の有休取得で二日分を使うため、今回、是正額は一年で一万八千九百円、五年で九万四千五百円にのぼります。

 「私たち非常勤職員の要求を取り上げ、ついに実現させた郵産労は頼もしい限り」とAさん。

 是正額について、「現在調査中」(郵政公社広報部)ですが、公社が深夜勤務の職員に実施している特別健康診断は、〇四年度に対象職員数が二万八千人、うち非常勤職員が一万一千人です。たとえば時給千円、年間の有休取得回数を最低の十日とすると、一年間で九千九百万円、五年間で四億九千五百万円。夜間・早朝勤務手当の是正分を加えると、「総額は五億円を上回る」(労働者)勘定です。

団体交渉で追及

 郵産労は「ゆうメイト」の声をもとに、「夜間労働を常態としている非常勤職員が年休を取得した場合、深夜割増賃金分を含めて支給する」よう繰り返し要求。団体交渉で追及してきました。昨年十二月、「取り扱いについては現在検討中」との回答を引き出し、その後、今年三月に是正すると正式回答を得ました。

 「ゆうメイト」の中には、「有休を取ったときに深夜割増賃金が支払われないのはおかしい」と個人で声を上げていた人もいます。「ゆうメイト」として四年勤務するBさん(30)もその一人です。

 Bさんは〇四年十月、郵政公社コンプライアンス(法令順守)相談窓口に手紙を出しました。

 同相談窓口から「年休を取得した場合に支払う賃金に不適切な取り扱いがあり、該当者に迷惑をかけました」「是正措置を講じたい」との回答を得ていました。

 Bさんは「今回の是正を話したら『有休をとると、収入が減るから取らないできた』という人が結構います。割増賃金が払われないために有休取得の権利も使わず働いてきた労働者も救済してほしい」と訴えます。

 郵産労の砂山洋一副委員長は話します。「郵政公社は長年続けてきた労働基準法違反を反省し、誠意ある是正をすべきです。有休を消化しないできた非常勤職員にも支給するのが当然。退職者も新聞に広告を掲載するなど、可能な限りの周知徹底をするよう求めたい」

 有給休暇の「有給」 労働者が有給休暇を取得した場合に使用者が支払う賃金は、過去三カ月間の平均賃金、または所定労働時間に対して支払われる賃金を支払わなくてはなりません(労基法第三九条)。深夜労働が常態となっている労働者の場合、深夜割増賃金も含んだ賃金を支払うよう義務付けられています。



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