2005年4月5日(火)「しんぶん赤旗」

男女平等めざす「北京行動綱領」

完全実施すみやかに

国連女性の地位委員会

新日本婦人の会中央本部国際部部長

平野恵美子さんのリポート


写真(平野恵美子さん)

平野恵美子さん

 第四回世界女性会議(一九九五年、北京会議)から十年間のとりくみを評価・検討する第四十九回国連女性の地位委員会(CSW)閣僚級会合がこのほどニューヨークの国連本部で開かれました。百六十五カ国から約千八百人の政府代表団と、二千六百人余のNGO(非政府組織)代表が参加。新日本婦人の会を代表して参加した平野恵美子さん(新婦人国際部部長)のリポートを紹介します。


「世界の女性は監視している」

はねのけた「政治宣言」への米国の圧力

実施を約束する「政治宣言」採択

 今回会合では、第四回世界女性会議で採択した北京行動綱領とそのさらなる実施を合意した二〇〇〇年国連女性特別総会の成果文書を、各国政府が再確認し「完全かつすみやかな実施」を約束する「政治宣言」を採択しました。

 「政治宣言」をめぐって中絶反対を公言するアメリカは、「(北京行動綱領は)中絶の権利を含まないことを再確認する」という文言を挿入せよという修正案を提出。会期(二月二十八日〜三月十一日)の前半は、これを許すかどうかが焦点になりました。

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NGOの打ち合わせ

 キリスト教右派の“NGO”も動員してアメリカは各国政府に圧力をかけました。私たちNGOは「世界の女性は監視している、北京行動綱領の再確認を」とステッカーを胸に張るなどして反対しました。

 結局、圧力をかけられたイスラム諸国や保守的な国々も同調せず、アメリカは修正案を撤回しました。性の自己決定権を含むリプロダクティブ・ヘルス・ライツ(性と生殖にかかわる健康と権利)の立場が、男女平等の推進、ひいては国の発展にとって欠かせないとの認識が広がっていることを実感しました。

九条を守る運動などで交流深め

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行動綱領の実施求め、約100人の女性が国連ビル前で行動=3月4日

 NGOは二百近くのワークショップ(分科会)で、経験交流や問題提起を行いました。地域や分野ごとにコーカスとよばれる活動グループを作り声明を発表したり、政府にはたらきかけたりしました。

 私は平和関連のワークショップに参加し、憲法九条を守る運動や被爆六十年のとりくみを紹介しました。また「平和をめざすカナダ女性の声」という団体の女性たちと、戦争のない世界をつくるために何をすべきかについて話し合いました。「カナダ女性の声」は核兵器廃絶にも積極的にとりくんでいます。トロントの市長が「広島・長崎市長の緊急アピール」に賛同、五月のNPT(核不拡散条約)再検討会議への行動にも参加の意向だそうです。

 CSWに参加するNGOの活動をサポートしているニューヨークの「NGO・女性の地位委員会」はNGO世界リポートを作成しました。これに新婦人のリポートから何カ所も引用・掲載されました。

 男女平等問題でのバックラッシュ(揺り戻し)、「男女平等」を口実にした税制や社会保障制度の改悪問題、男女共同参画基本法や自治体の条例制定はすすんだが予算や人員配置が不十分なことなどです。

 平和の分野では、CSWへの日本政府の報告書が核兵器廃絶にまったくふれていないこと、日本政府が米ミサイル防衛計画に参加し、憲法九条を変えようとしていることなどです。

 私たちが重要だと考えていることが、国際的にも注目されているといえます。

実施の“コップ”完全に満たそう

 「(北京会議から)十年、北京宣言と北京行動綱領の実施はコップを完全に満たしたというには、ほど遠い状況です。次回委員会が検討を行うときには、確実にコップがいっぱいになったといえなければなりません」。CSWの閉会にあたり、カン・キョンファ議長は各国政府の責任を強調しました。

 日本女性の政治や経済への進出度は七十カ国中四十四位(国連開発計画)。各分野で要求にもとづく共同をすすめながら政府に具体的な政策を迫る運動がいっそう大切になっています。


 北京行動綱領 一九九五年に北京で開催された第四回世界女性会議で採択した文書。「女性と男性の平等は人権問題で、社会正義への条件」などとのべ、女性と貧困、教育、健康、暴力、経済、人権など十二の重大関心領域の戦略目標と行動を提起。女性への暴力根絶や男女同一賃金、政策決定機関への平等な参加などを打ち出しています。


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