2005年3月31日(木)「しんぶん赤旗」

保安院

国の責任認める

美浜原発事故で最終報告


 十一人の死傷者を出した関西電力美浜原発3号機(福井県美浜町)の蒸気噴出事故で、経済産業省原子力安全・保安院は三十日、最終報告書を同省事故調査委員会に提出、了承されました。

 報告書は、事故の予見・予防が可能であったにもかかわらず、関西電力などの不適切な管理が原因で起きたと強調。案の段階ではふれていなかった国の責任にも言及、「反省すべき点が多い」としています。

 報告書は、「今回の事故は、我が国の原子力発電所で例をみない重大な結果になった」と記述。関西電力、三菱重工、日本アームの「不適切な管理」を事故の原因としています。さらにその背景には、「社内での『安全文化』のほころびがあった」としています。

 保安院の責任については、「配管の肉厚管理の具体的方法を各事業者の社内基準に委ねてきたことが、不適切な運用を招いた一因」としています。

 報告書には、保安院が特別な保安検査や安全管理審査を継続、必要に応じて立ち入り検査をすることも盛り込んでいます。


効率優先を国も改めよ

 日本共産党の吉井英勝衆院議員の話 今月十四日に発表された最終報告書案では、国の責任が棚上げされていた。今回の最終報告では、不十分とはいえ、国の責任に言及せざるをえなかった。

 とくに、一九八六年に起きた米国のサリー原発事故を教訓にしなかった問題を私たちはくりかえし指摘してきたが、今回の最終報告書でようやく、「国の対応には反省すべき点が多い」と認めている。

 関西電力の問題として「『安全文化』のほころび」をあげているが、安全より原発の運転効率を優先させる姿勢こそが問題だ。この点では、定期検査期間の短縮と電力会社の「自主検査」などを推進してきた国の対応も改めるべきだ。


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