2005年3月30日(水)「しんぶん赤旗」
カーター元大統領、核政策批判
「NPTの『侵食』は米が主因」
【ワシントン=浜谷浩司】カーター元米大統領は米紙ワシントン・ポスト二十八日付に寄稿した論文で、一カ月後に迫った核不拡散条約(NPT)再検討会議の行方に懸念を表明し、「米国がNPTの侵食を招いている主因だ」とブッシュ米政権の核政策を批判しました。
論文は、米国をはじめとする核保有国がNPT再検討会議の行方に「無関心」だと指摘。イランや北朝鮮などの核開発で核不拡散体制が「侵食」される下、核保有国の姿勢は「驚くべきことだ」と強調しました。
同氏は、国連総会で昨年、核保有国に既存の約束を実行するよう求めたブラジルなど七カ国からなる新アジェンダ連合の決議案に、米国、英国、フランスが反対したことに言及。約束を拒否する核保有国と約束の尊重を迫る非核運動との「深い亀裂」によって、NPT再検討会議の準備委員会は議題も決められないでいると述べています。
ブッシュ政権について論文は、イラク、リビア、イラン、北朝鮮による「拡散の脅威から世界を守る」とする一方で、「既存の抑制を放棄」し、弾道弾迎撃ミサイルや地中貫通核兵器、小型核などの新型兵器の実験、開発を主張していると批判。「非核保有国に核兵器を使用すると脅している」ことも挙げています。
その上で米国が取り組むべき課題を列挙。▽戦略核兵器の実質削減▽非核保有国に対する核攻撃の放棄▽欧州配備の核兵器の撤去の検討▽包括的核実験禁止条約(CTBT)の受け入れ▽核分裂物質生産禁止条約の支持▽ミサイル防衛の開発抑制▽イランとともにイスラエルの核兵器も視野に入れた中東での核拡散対策―を提案しました。