2005年3月27日(日)「しんぶん赤旗」

降灰は倍以上の広さ

ビキニ水爆実験

新たな地図を発見


写真
新たに見つかった死の灰の降灰地図のコピー

 一九五四年三月一日、米が中部太平洋ビキニ環礁で実験した水爆「ブラボー」による放射性降下物(死の灰)の新たな降灰地図が二十五日、広島市立大学広島平和研究所で開かれたワークショップ(研究会)で分かりました。放射能汚染が、米が認めたロンゲラップなど四環礁だけでなく、マーシャル諸島共和国のもっと広範囲に及んでいるという現地住民の証言を裏付ける内容です。

 降灰地図についてはこれまで、核実験当局「米原子力委員会」が「風下三百五十キロメートル強、最大幅六十五キロメートル弱の葉巻型の地域」を公表。新地図はそれより倍以上広い降灰地域を示しています。原子力委の五四年九月二十二日付資料ファイルに添付されていました。

 このほか放射能汚染が世界規模に広がっていたことを示す原子力委の資料も発見されました。

 これは、米側が世界中(旧ソ連など東側諸国を除く)に地上観測網を張り巡らせ、放射線を検出したエリアを世界地図に範囲指定しています。測定は五四年三月一日から七月一日まで行われ、同年三―五月のブラボー水爆を含む六回の核実験による放射線量を測定しました。

 それによるとブラボー水爆実験の十八日後の三月十九日には放射性物質が赤道に沿って地球を一周し、五月中旬に日本列島全域を覆った様子が分かります。

 実際この時期、日本で「放射能雨パニック」が起こり、京都八万カウント(五月十六日)、東京一万カウント(同二十八日)、沖縄十七万カウント(七月七日)など列島全域に放射性物質を含んだ雨を観測しています。(汚染マグロの廃棄基準が百カウント)

 資料は、広島平和研究所の高橋博子研究員、早稲田大大学院の竹峰誠一郎氏が今春、新たに米公文書館から入手。ワークショップはこれら資料を分析するために開かれ、高橋、竹峰の両氏、名古屋大学の澤田昭二名誉教授、広島大学原爆放射線医科学研究所の川野徳幸助手、理学博士の増田善信氏が集まりました。

 高橋氏らは「資料の持つ意味については、さらに研究が必要です」と話しています。


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