2005年3月26日(土)「しんぶん赤旗」

薬害エイズ

元厚生省課長に有罪

東京高裁 85年投与分は無罪


 薬害エイズ事件で、業務上過失致死罪に問われた元厚生省生物製剤課長の松村明仁被告(63)の控訴審判決が二十五日東京高裁でありました。

 河辺義正裁判長は、「非加熱製剤の使用を控えさせる義務があった」として、禁固一年、執行猶予二年の一審判決を支持、検察側、被告・弁護側双方の控訴を棄却しました。

 松村被告が起訴された事件(訴因)は二つ。第一訴因となった一九八五年五―六月にHIVに汚染された非加熱血液製剤を投与されてエイズで死亡した帝京大学病院の血友病患者の事件について河辺裁判長は、「クリオ製剤などへの転換を想定し、非加熱製剤の原則使用中止の措置を講ずる」状況にはなかったとして、一審と同じく無罪。その後、八六年に投与された大阪の大学病院の肝臓病患者の事件(第二訴因)は、加熱製剤が輸入承認されて「治療にあたる医師に非加熱製剤の使用を控えさせる措置を講ずることが可能だった」として、有罪としました。

 高裁レベルで適切な権限行使を怠った官僚の「不作為」について刑事責任を認めた判決は初めてです。

 判決は、危険性を認識できた時期については、一審と同様に八五年十二月下旬と認定。同被告には「関係部局への権限行使を促す義務」も生じていたと断罪しました。

 東京高検次席検事は同日、第一訴因について検察官の主張が認められず一審無罪が維持された点は遺憾として、「上級庁と協議して今後の対応を検討したい」との談話を発表しました。弁護側は上告する方針。


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