2005年3月23日(水)「しんぶん赤旗」

イスラエル

西岸入植地を拡大

パレスチナ側「和平の扉閉ざす」


 【カイロ=小泉大介】イスラエルの有力紙イディオト・アハロノト二十一日付は、同国のシャロン首相が先週、東エルサレム東方数キロにあるヨルダン川西岸最大のマアレ・アドミム入植地とその周辺で新たに三千五百戸の住宅を建設することを承認したと報じ、その目的が「大エルサレム」の実現にあると指摘しました。イスラエル政府高官もこの建設計画を確認しました。

 イスラエル政府はすでに十三日の閣議で、マアレ・アドミム入植地を、現在建設中の分離壁によってイスラエル側に「併合」する決定もおこなっており、今回の入植地拡大とあわせ、同政府がエルサレムの支配の強化と永続化を狙っているのは明らかです。

 国連と欧州連合(EU)、米国、ロシアが一昨年策定した中東和平に向けたロードマップ(行程表)は、その第一段階で、パレスチナ側には暴力の停止、イスラエル側には占領地における入植地活動の凍結を義務付けています。今回のイスラエル側の計画は、国際的な要請にも背を向ける重大なものです。

 また、イスラエル政府は現在、パレスチナ自治区ガザからの入植地と軍の一方的撤退計画を進めていますが、今回の西岸における入植地拡大計画は、ガザ撤退の入植者の受け皿づくりを意味する可能性もあります。

 パレスチナ側の和平交渉責任者、アリカット氏は「この計画の実施は、交渉と和平のドアが閉じることを意味する。計画はエルサレムの将来を、交渉でなく入植地によって決定しようと意図するものだ」と厳しく非難。パレスチナ自治政府のハティブ計画相も「西岸の入植地の拡大は、ガザを放棄する一方で『大イスラエル』を実現しようとの印象を与えるものだ」と強調しました。


ユダヤ人入植地

 イスラエルは、一九六七年の第三次中東戦争で占領したヨルダン川西岸やガザ地区にユダヤ人の入植地を建設してきました。入植地はベッドタウンや工業・農業団地で、その数は両地域で百五十カ所以上に上ります。西岸(パレスチナ人二百三十万人が居住)にはユダヤ人約二十三万人、ガザ地区(同百三十万人)には約八千五百人が入植。七七年に右派リクードが政権を獲得し、シャロン氏(現首相)が内閣入植地委員会責任者になって以来、パレスチナ人口密集地域を包囲する形で入植地を計画的に建設してきました。入植地は「占領国は、占領地に自国の文民…を移送してはならない」というジュネーブ条約第四条約の四九条に違反します。


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