2005年3月22日(火)「しんぶん赤旗」

岩国

海兵隊に米海軍機配備

厚木から移転の先取りか


 米軍再編の一環として米海軍と米海兵隊は、両軍の戦闘攻撃機部隊を統合運用する計画を進めています。その具体化として昨年九月、米海兵隊岩国基地(山口県)に、米海軍の戦闘攻撃機部隊が配備されました。在日米軍再編の日米協議では、米海軍厚木基地(神奈川県)の空母艦載機部隊を岩国基地に移転する案が検討されており、その先取り的な動きではないかとみられています。

 岩国基地は、海兵隊航空部隊(第一二海兵航空群)の拠点です。その主力である戦闘攻撃機部隊の大半は、海兵隊の部隊展開計画(UDP)に基づき米本土の基地から六カ月ごとに交代で派遣されています。

統合で近代化

 昨年九月十二日、この岩国基地に海兵隊の戦闘攻撃機部隊の交代として、「第九七戦闘攻撃中隊」(VFA97)と呼ばれる海軍の戦闘攻撃機部隊(FA18Cホーネット十二機)が配備されました。同部隊は、米カリフォルニア州の海軍基地から派遣されたもので、空母カールビンソンなどの艦載機部隊でした。

 米海軍省のイングランド長官の証言(今月三日、米上院軍事委員会)によると、「(海兵隊の)UDPを支援するために初めて配備された海軍部隊」です。

 今回の岩国基地への海軍部隊の配備は、同省の「戦術航空統合」(TAI)計画に従って実施されました。

 同計画は、戦闘攻撃機部隊を海軍・海兵隊双方で統合運用することで、両軍が保有する全体の機数を減らして経費を節減、その分を部隊の即応態勢の強化や近代化に充てようというものです。

 具体的には、海軍の戦闘攻撃機部隊を海兵隊のUDPに組み込むと同時に、海兵隊の戦闘攻撃機部隊を空母艦載機部隊として運用します。

地元負担激化

 日米両政府が進めている在日米軍再編協議では、厚木基地に配備されている米空母キティホーク艦載機部隊とその夜間離着陸訓練(NLP)を岩国基地に移転する案が検討されています。その背景には、TAI計画があるとみられています。

 しかしそれは、岩国基地を海兵隊と海軍の航空部隊の統合基地としていっそう強化し、地元の負担激化につながるものです。

 VFA97は十五日、六カ月の任期を終えて米本土に帰国し、代わりに海兵隊の戦闘攻撃機部隊が配備されました。

 在日米軍司令部は、今後の岩国基地への海軍戦闘攻撃機部隊の配備について「作戦上の動きについての質問には答えられない」としています。


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