2005年3月21日(月)「しんぶん赤旗」
雇用、社会的権利守ろう
欧州デモに5万人
ベルギー
【パリ=浅田信幸】欧州労連(ETUC)が呼びかけ、雇用と社会的権利の擁護などの要求を掲げた「欧州デモ」が十九日、ベルギーの首都ブリュッセルで行われ、欧州各国から駆けつけた労働者など約五万人が参加しました。
現地からの報道によると、デモは「より多く質の高い雇用、社会的欧州の擁護」と書かれた横断幕を先頭に、市内の中心街を行進しました。
デモには地元ベルギーの労働総同盟(FGTB)をはじめ、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、ポーランドなどの主要労組の組合員が多数参加。欧州連合(EU)加盟候補国クロアチアの労組も加わりました。
ブリュッセルでは今月二十二、二十三日にEU首脳会議が開かれ、経済戦略の見直しが行われます。モンクスETUC書記長は、首脳会議で経済成長の追求だけでなく、雇用、社会政策、環境とのバランスに配慮した政策が打ち出されるよう「強力なメッセージ」を送ることが目的だと述べました。
特に焦点となっているのが、域内サービスの自由化を意図したボルケスタイン指令案(EU法案)です。同指令案は、他国に進出した企業が進出先の規則でなく、出身国の規則に従えばよいとする「出身国主義」の原則を打ち出しています。このため仏、独、スウェーデンなどでは政府も含めて、労働法の整備が遅れた国の企業が進出する場合に長時間労働や賃金の低下を招く「社会的ダンピング」が起こるとの懸念が広がっています。
イタリア労働総同盟(CGIL)のセルジョ・シンケット氏は「イタリアではすでにベルルスコーニ政権の新自由主義政策とたたかっている。こんな政策を欧州全体に拡大する指令は誰も望んでいない」と語りました。
デモの最後尾には、社会フォーラム系の平和団体などが独自の隊列を組み、「平和で平等な、社会的、連帯的なもう一つの欧州」をスローガンに掲げ、「イラクからの外国軍撤退」を叫んで行進しました。