2005年3月20日(日)「しんぶん赤旗」

米が先制攻撃維持

軍事戦略文書発表 「体制転換」前面に


 【ワシントン=浜谷浩司】米国防総省は十八日、軍事方針の基本的な考え方をまとめた文書「国家防衛戦略」と「国家軍事戦略」(解禁部分)を発表しました。「地球規模での行動の自由」を確保しつつ、敵に対しては先制攻撃をはじめ「米側が選択する条件下」で打ち勝つと主張しています。

 これらの文書は、先制攻撃戦略を正面に掲げた二〇〇二年の「国家安全保障戦略」を補完するもの。同時に、〇六年初頭のとりまとめをめざして作業が進められている「四年ごとの国防政策見直し」(QDR)の土台となるもので、米軍が進める「変革」の特徴を取り込んだものです。

 同日記者会見したファイス国防次官(政策担当)は、QDRの作成過程に同盟国を参画させる方針だとして、世界を舞台にした米軍事戦略に同盟国を一段と巻き込む姿勢を明らかにしました。ただ、同盟を強調するといっても、ブッシュ政権が単独行動主義を放棄することはないとみられます。

 ラムズフェルド国防長官は「国家防衛戦略」の前文で、米国は世界情勢で「異例な力を持つプレーヤー」だと指摘。米国への挑戦が危険で手に負えなくなる前に、事態を変えることが重要だと強調しました。

 同文書は「二十一世紀の米安全保障」として、新たな脅威を強調。そのなかで、「自国市民、周辺諸国、国際社会」に脅威を与えながら「主権を盾に使う」ことは受け入れられないとして、イラク戦争の正当化に通じる体制転換論を押し出しています。

 「戦略目標」として、(1)大量破壊兵器などによる米国への直接攻撃の抑止(2)世界の主要地域への接近や通信、宇宙・公海を活用した行動の自由(3)同盟関係の強化(4)安全保障上の有利な国際的条件づくり―を列挙。

 そのために「高い能力をもち速やかに展開できる部隊」を維持し、必要なら「有利な条件で決定的に」紛争を解決する意思を示すとしています。

 さらに、敵に打ち勝つうえでの「広範な選択肢」として、▽敵の行動を阻止する「防止行動」や先制攻撃▽正規軍、民兵、武装集団との戦闘▽平和維持活動から相当な戦闘行動にわたる平定作戦―をあげています。

 求められる米軍の規模や態勢について、同文書は(1)米本土防衛(2)欧州、北東アジア、東アジア沿海部、中東・南西アジアの四地域への前方展開(3)別々の二つの戦域で敵を迅速に倒す能力(4)規模はより限定的ながら長期にわたる作戦の遂行―を示しました。


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