2005年3月19日(土)「しんぶん赤旗」

中国人「慰安婦」訴訟

条約理由に控訴棄却

東京高裁 請求権消滅と判断


 戦時中、中国・山西省で日本軍による性暴力被害を受けた中国人女性二人(一人死去、遺族が継承)が日本政府に対し一人二千三百万円を求めた、中国人「慰安婦」損害賠償請求第二次訴訟の控訴審判決が十八日、東京高裁でありました。江見弘武裁判長は請求を棄却した二〇〇二年三月の一審判決を支持し、原告の控訴を棄却。原告側は上告する方針です。

 江見裁判長は、日本軍の兵士らによって組織的に拉致・連行され、監禁下で性暴力を受けた被害事実と、それによるPTSD(心的外傷後ストレス障害)を認定した一審判決を支持。また、当時の中国および日本の民法のいずれによっても、国の「慰謝料支払い義務の発生は認められる」としました。国際法の違反も明確にしました。

 しかし「連合国や国民の請求権放棄を規定したサンフランシスコ平和条約を原則とした日華平和条約の締結により、賠償請求権は放棄された」と判断。請求はできないと結論付けました。原告側によると、同条約による請求権放棄を認めた司法判断は初めてです。

 日華平和条約は一九五二年、台湾を適用範囲として結ばれたもので、七二年に日中が国交を回復した際に失効しました。

 判決後、会見した原告弁護団は、日華平和条約による控訴棄却は「全く予想せず、本当にひどい判決」だとのべました。

 「棄却」を告げられた原告の郭喜翠さん(87)は、「なぜ私が負けたのか。なぜ日本政府は事実を認めないのか。怒りでいっぱいだ」と訴えました。


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