2005年3月12日(土)「しんぶん赤旗」

自民旧橋本派 元金庫番の証言

裏金配る候補者に 幹部が○印

「法定費用で選挙できない」


 自民党の最大派閥・旧橋本派(平成研究会)の元“金庫番”、滝川俊行元会計責任者(56)の裁判での証言が永田町に衝撃を与えています。日本歯科医師連盟(日歯連)から同派への一億円のヤミ献金をめぐる元官房長官・村岡兼造被告の公判で、五回、計二十時間をこえた証言。元“金庫番”が明かした旧橋本派の裏金の実態とは……。

 (山本 豊彦)



図

 滝川元会計責任者は、大学在学中から故小渕恵三元首相の私設秘書に。その後、同元首相の公設秘書、政策秘書を長年つとめました。同元首相の死去後、二〇〇〇年九月ころから、平成研事務局長、いわゆる“金庫番”に就任。取り調べの際、検察官から「秘書の代表選手」といわれるほど永田町でも有名なベテラン秘書の一人でした。

収 入

パーティー券 幹部の寄付

 滝川元会計責任者は、平成研の収入の一部を収支報告書に記載せず、裏金処理したことを明らかにしました。その一つが、パーティー券収入のうちの現金分。そのことは橋本龍太郎元首相ら幹部にも報告されていました。

 「長年の平成研の慣習で、パーティー券の売り上げのうち、銀行口座に振り込まれた分は記載したが、現金分は記載しなかった。選挙資金にあてた。(〇一年に裏に回したパーティー券の売り上げは一億数千万円であることを確認)」(二月十六日)

 「(パーティー券の収入の一部を裏金処理したことは)幹部会で青木(幹雄・同党参院議員会長)先生や村岡先生、橋本会長にも報告した」(二月十六日)

 幹部からの寄付の一部も裏金で処理していました。「領収書はいらない」という幹部らの指示があったといいます。

 「(〇一年の幹部からの寄付のうち裏金処理したのは)橋本会長が二千万円くらい。鈴木宗男(前衆院議員)先生が五百万円ぐらい。綿貫(民輔・前衆院議長)先生も表に出さないものが一千万―二千万円。先方(議員側)からの指示があったからだ」(二月二十五日)

支 出

選挙資金に

 所属議員に配る選挙資金などについても収支報告書に記載せず、裏金として処理。そのことは幹部会などに報告していたといいます。

 「(旧)橋本派の現職候補と新人候補などのリストをもとに、幹部が丸印をつけた人にいっせいに配った。そのほか、幹部が選挙区情勢などを分析して追加した」(一月二十四日)

 「(二〇〇一年の参院選では四億三千万円に)近い金が出たと思う」(二月十六日)

 「(事務局の職員から、二〇〇〇年六月の衆院選資金として氷代も含めて衆院議員に約七億円、参院議員に一億円を配ったとする資料をみせられたのは)事実」(三月八日)

 滝川元会計責任者は、「法定費用の中で選挙が行われることはないというのは永田町の常識」と選挙資金を裏金処理した動機の一つを語っています。

 このほか、滝川元会計責任者は〇一年、自民党から夏、冬で計一億二千万円を受け取ったことを明らかにしました。自民党事務局長は「派閥として(収支報告書に)記載する必要はない」といっており、どのような処理がされたのか疑問です。

 滝川元会計責任者の発言は、平成研の“金庫番”という裏金を知る立場の人物が、裁判所で宣誓をした上での証言です。国会での真相解明がいよいよ重要となっています。


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