2005年3月10日(木)「しんぶん赤旗」
フランス 高校生、全土でデモ
“不平等を広げる”
教育「改革」撤回迫る
【パリ=浅田信幸】教育の格差を広げるとして政府の「改革」法案に反対する高校生の二回目の統一行動が八日、フランス全土で行われました。約百五十市で行われたデモに二十万人近い生徒が参加し、法案の白紙撤回を迫りました。
20万人参加
![]() 教育「改革」法案に反対してパリ市内をデモ行進する高校生=8日(浅田信幸撮影) |
呼びかけたのは独立民主高校生連盟(FIDL)と全国高校生連合(UNL)。前回二月十日の十万人を大きく上回りました。FIDLのコラリー・キャロン書記長は「今後もデモは続くでしょう。フィヨン教育相は私たちの主張に耳を傾けるべきです」と力強く宣言しました。
政府案は高校進学率80%、大学進学率50%の達成を目標に掲げています。小学二年生からの外国語授業、教員養成「改革」、成績優秀な生徒への奨学金の優待制度、進路指導の強化など、広範囲にわたって現行制度を見直します。
“先生を増やして”
高校生たちは、生徒間・学校間の不平等と格差を拡大することになると批判。政府が生徒数の減少と財政難を理由に教員の削減を計画しているのに反対し、逆に全国で九万人の採用を主張しています。政府案が全体として企業の要請に応えて選別を強めることにも厳しい目を向けています。
八日のデモでは「フィヨン改革は教育を損なう」「自由主義の学校=不平等な学校」「教育を企業に売り渡すな」などのプラカードや横断幕を掲げ、「フィヨンは辞任せよ」と声をあげました。
政府は強行の構え
フィヨン教育相は、二月十日の統一行動の直後、最大の争点となったバカロレア(大学入学共通資格試験)改革を先送りすることを決めました。しかし今回は「改革の放棄は教育の放棄につながる」「一部の高校生の主張はわが国の世論全体を代表しない」と強行する構えです。
法案は今月二日に国民議会の第一読会を通過し、今月十五日から上院で審議が開始されます。
このほか十日には労働者が週三十五時間労働法の擁護を求めてストやデモを計画するなど、国民各層で政府への批判が高まっています。


