2005年3月10日(木)「しんぶん赤旗」

札幌地裁 NTT東に賠償命令

リストラ拒否で研修死


 二〇〇二年に急性心筋虚血で急死したNTT東日本職員の奥村喜勝さん=当時(58)=の遺族が、喜勝さんの死はNTTが安全配慮義務を怠ったためだとして同社に約七千二百万円の損害賠償を求めていた訴訟の判決が九日、札幌地裁でありました。民事第二部の奥田正昭裁判長は、業務と死亡の因果関係を認め、NTTには安全配慮義務に違反した過失があったとして、約六千六百万円の支払いを命じました。

 喜勝さんは、NTTが〇二年に実施した十万人リストラの際、転籍を拒み、本体に残ることを選びました。仕事内容の変更に伴い、約二カ月間、札幌と東京で研修を受けましたが、一時帰宅した同年六月九日に急死しました。

 喜勝さんは心臓病の持病があり、職場検診で残業、宿泊出張は不可とされていました。節子さんらは、NTT自身が定めた安全管理基準に違反し、喜勝さんに不規則な生活や睡眠不足を強いたため、疲労が極限に達していたと主張。NTT側は「研修が健康に悪影響を及ぼしたとは言えない」と反論していました。

 妻の節子さんと息子の耕一さんは判決後、支援者らを前に「夫を亡くして三年。本当に苦しかったけれど、たたかってきて良かった。この日が迎えられてうれしい」と言葉を詰まらせました。

 夫の写真を握り締めて節子さんは「夫はNTTのリストラのために死ぬことになった。こんな不条理なことは許されない。全国のリストラ裁判の結果に良い方向につながってくれれば」と語りました。

 弁護団の高崎暢弁護士は「百パーセントの全面勝利だ」と結論付けました。


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