2005年3月7日(月)「しんぶん赤旗」
堤前会長は逮捕されたが
西武の体質変わるか
「ぬれぎぬ降格」謝罪させた元助役語る
「前会長が逮捕されるのは当然だ。でも企業の体質が変わるのかどうか…」。西武鉄道で二十二年間助役を務めてきた金田政彦氏(61)=埼玉県飯能市在住=は、西武前会長・堤義明容疑者(70)が証券取引法違反で逮捕されたことにそんな感想を話します。金田氏は、七万円を着服したとぬれぎぬを着せられ、西武鉄道を相手に裁判をたたかい、先月、事実上謝罪させました。金田氏が問う「西武の体質」とは――。
「逮捕で西武鉄道がよくなればいい。しかし、トップが代わっても幹部には西武の体質が染み込んでいる」。そう語る金田氏には、忘れようとしても忘れられない体験があります。
一九九九年四月、当時助役だった西武秩父駅管区で、松坂大輔投手の西武入団記念テレホンカードの売上代金(七万二千八百円)が紛失する“事件”が起きました。
撤回しない
管区のお金を管理していた金田氏が疑われ、本社の社員に「いま白状すれば、依願退職だが、警察が入れば懲戒免職だ」と責められました。
着服を断固否定、退職も拒否した金田氏。助役から駐輪場担当に降格される処分を受けました。ところが、二カ月後、金庫の下から売上げ代金が偶然発見されました。
それでも会社側はこの事実を九カ月も隠し続け、金田氏への処分も撤回しませんでした。助役への復職を求める金田氏に現場責任者はこう語ったといいます。
「西武鉄道はでかいんだよ。一度下した処分は会社の名誉にかけて撤回しない。そう会社でいってるよ」
金田氏が「私の名誉はどうしてくれる」というと、「我慢してくれ」といわれました。
金田氏と支援者は再三、西武鉄道本社に行き、「処分の撤回と謝罪を求める要請書」を提出しましたが、同社は誠意ある回答をしませんでした。裁判でも、降職・減給は「助役としての能力不足」とまでいい、調査不足で一人の人間の人格・名誉を傷つけたことを認めませんでした。
異常の一端
全国四十二都道府県の約千三百の労働組合・民主団体と二万五千人を超える個人から金田氏を支援する署名が集まりました。
このなかで堤容疑者逮捕前の二月九日、さいたま地裁川越支部で和解が成立。西武は、配転命令に関連して「遺憾の意」を表明し、和解金を支払うことになりました。
昨年四月、総会屋事件後、社長に就任した小柳皓正氏(先月自殺)は社内報(『せいぶ』昨年五月号)で、西武の異常な体質の一端をこう認めました。
「当社ではこれまでトップダウンで仕事をすることが多く、意思決定の速さでは優れていますが、反面、上司から指示されたことがルールとなり、世の流れからずれても気付かなくなる恐れがありました」
金田氏はいいます。「絶対君主のようにふるまう西武鉄道が謝るかどうか社員全員が注目していたなかで、会社が『遺憾の意』を表明したことは、私にとって大勝利和解。これからどう変わるのかが問題です」

