2005年3月6日(日)「しんぶん赤旗」

盧武鉉大統領演説

韓国メディア 日本の反応に落胆

求めたのは 「北東アジアの平和協力」


 韓国の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領が一日の「三・一独立運動」記念演説で、植民地支配による被害への「賠償」に言及したことが、日韓両国で反響を呼んでいます。大統領スポークスマンは二日、「北東アジアの平和協力体制をつくるために、日本の指導者に歴史問題の解決を求めたもので、大統領の一貫した原則だ」と強調。一方、日本では政治家やメディアが、演説はもっぱら「韓国国民の感情への対策」とする主張を展開し、韓国側を落胆させています。

謝罪してるのか

 潘基文(パン・ギムン)外交通商相は二日の記者会見で、「これまで何度も日本政府の謝罪や共同声明があったが、その後も日本の指導者は無責任な発言を続けてきた」と指摘、「日本政府と国民が果たして本当に謝罪しているのか、深い疑問を感じる」と強い不信感を隠しませんでした。

 昨年七月の日韓首脳会談で盧大統領は「私の任期中は、韓国政府が歴史問題を韓日間の公式議題や争点として提起するつもりはない」と言明しました。このため日本の政治家やメディアのなかには、国内世論対策のために今回の演説で大統領が態度を変えた、とする見方が出ています。

 これに対し韓国各紙は、盧大統領の演説は歴史問題を外交問題化するのではなく、日本の自覚的な行動を促したものだと報じました。中央日報(電子版)によると、盧大統領は最近、外交通商省高官らを前に「韓日関係はいつまで歴史に縛られるのか。解決すべきことは解決し、未来志向で進むべきではないか」といらだちをみせたといいます。

進む歴史見直し

 ハンギョレ紙(電子版)は、「大統領は国内事情を考えて発言した」という小泉首相の反応や、「解決ずみの話を蒸し返すような発言はきわめて遺憾だ」とした読売新聞三日付の社説、「自国の歴史見直しを政権の実績にしようとしているさなかの国内向けの演説」とする朝日新聞二日付の社説を引用。「日本政府は『聞かないふり』、メディアは『相づち』」と報じました。

 ソウル新聞は「盧大統領の発言が国内用だとは」と題する三日付社説で、日韓協定の改定は無理でも、立法措置を通じて「慰安婦」など被害者の救済に日本政府が乗り出すよう主張しました。

 韓国政府が進める近現代の「歴史見直し」では、昨年十二月に「反民族行為真相究明法」が改正され、植民地支配への朝鮮(韓国)人による協力の実態調査に入ろうとしています。また、二月から「強制動員被害真相究明法」に基づく被害申告の受け付けを開始。韓国側の動きは着実に進んでいます。しかし、被害国だけの努力では真相究明も日韓の和解も不可能だというのが韓国側の立場です。

 韓国各紙は、日韓両国がともに過去の過ちを正すべきだと強調します。毎日経済新聞二日付の社説は、一九六五年の日韓請求権協定に植民地支配への謝罪が全くなく、賠償問題を「経済協力資金」で決着させたことは「道理ではなかった」と当時の両国政府を批判。大統領演説は韓国政府として賠償を求めているのではないとして、「日本政府が法以前の人類普遍の役割を果たす」ために自主的に被害者に補償するよう促しました。

 (面川誠)


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