2005年3月3日(木)「しんぶん赤旗」
ウルグアイ
左翼大統領が就任
貧困削減へ緊急計画
干渉は容認せず
式典に南米7カ国元首
【メキシコ市=菅原啓】南米ウルグアイで一日、昨年十月の選挙で親米保守の二大政党候補を大差で打ち破って当選したタバレ・バスケス新大統領の就任式が行われました。
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首都モンテビデオでは、中道左派政党の連合「拡大戦線」の旗を持った市民数万人が早朝から大通りを埋め、新政権誕生に沸きかえりました。同戦線は大統領を当選させただけでなく、現在は上下両院で議席の過半数を占めています。
新大統領は、就任演説で、軍政時代(一九七三―八三年)の人権抑圧の真相究明や貧困削減、雇用拡大など公約の実現のために全力を尽くすことを約束。「きわめて重要な変革はすべての人々を巻き込むものでなければならない」とのべ、改革の推進では野党とも協力しながら、住民参加を追求していくと語りました。
就任式には、チャベス大統領(ベネズエラ)、ルラ大統領(ブラジル)をはじめ、米国の経済的政治的抑圧に抵抗し、地域統合を進めている南米七カ国の国家元首が出席。バスケス大統領は、南米南部共同市場(メルコスル)、南米統合を重視する方針を示しました。
経済問題では、巨額の対外債務を抱えていることから、国際通貨基金(IMF)への対応が注目されました。大統領は「国際金融機関との関係を無視することはない」とのべ、ウルグアイの社会と国民の必要な問題を考慮して、「(IMFなどと)相互尊重の関係」をめざすと表明。国内改革にたいする金融機関の圧力を念頭において「国内の問題にたいする外部からの干渉を容認しない」との決意を明らかにしました。
大統領は就任後の初仕事として、貧困削減のための緊急計画(予算一億ドル)に署名しました。同計画は、必要最低限の食料支給や貧困家庭の子どもたちの就学支援などを含んでいます。
ウルグアイ政府はまた、断絶していたキューバとの外交関係再開を発表しました。親米のバジェ前政権は米国の圧力を背景に、キューバ国内の人権状況を非難するキャンペーンの先頭に立っていたことから、両国政府は二〇〇二年四月以降関係を断絶していました。


