2005年3月3日(木)「しんぶん赤旗」

BSE問題 牛肉輸出再開

米「あらゆる措置とる」

日本政府への圧力強める


 【ワシントン支局】ブッシュ米大統領は一日、議会へ年次通商報告を提出しました。そのなかで、日本政府が牛海綿状脳症(BSE)発生以来米国産牛肉の輸入を禁止していることについて、「大きな発展がない」とし、米政府として輸出再開のために「あらゆる必要な措置をとる」として、強圧的な態度を明らかにしました。

 報告書は、「日本の牛肉市場再開放は二〇〇四年の日米二国間の最優先課題だった」と記述。その上で「昨年十月の日米合意にもかかわらず、日本市場の再開放に向けて大きな進展はなく、米国の牛肉関連業界は深刻な打撃を受けている」として日本政府の対応を批判しました。

 他方、ジョハンズ米農務長官は一日、下院の農業委員会で証言。日本への牛肉輸出再開に関して、昨年十月に生後二十カ月以内の子牛に限ってBSE検査なしでも再開に向けて調整することで合意したとした上で、「米国としてはできることはすべてやった。このままでは日米関係に深刻な結果をもたらす」と述べました。米国内では、議会や業界から不満が高まっており、通商報告や農務長官の証言は、こうした声を背景に、日本への圧力を強める構えを示したものです。


解説

日本の主権を侵す

「早く牛肉の輸入を再開せよ」とばかりに強行姿勢をちらつかせ、BSE検査なしでの米国産牛肉の輸入再開を迫る米政府。そのやり方は日本政府が法律にもとづいて現在進めている国内手続きさえも無視するもので、国の主権をふみにじるものです。

 現在、農水相と厚労相の諮問を受けて、内閣府の食品安全委員会専門調査会が全頭検査の見直しなど国内対策を審議しています。国内初の変異型ヤコブ病患者発生や十五頭目のBSE感染牛が確認されるなか、委員は科学的見地から慎重な審議を進めており、結論にいたるような状況ではありません。この国内対策で結論を得た上で、米国産牛肉の危険度評価を審議する予定です。BSE検査抜きの米国産牛肉輸入再開には、消費者だけでなく、生産農家などが不安を抱いています。

 この審議を米国の圧力でゆがめるようなことがあってはならず、日本政府の態度が問われています。 (宇野龍彦)


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