2005年3月2日(水)「しんぶん赤旗」

歴史問題解決

北東アジア平和に不可避

韓国側、大統領演説で


 盧武鉉・韓国大統領が日本による植民地支配からの独立をめざした三・一独立運動(一九一九年)の記念演説で、植民地支配に対する「賠償」に言及したことは、北東アジアの平和実現に向けて日韓がパートナーとなるためには、歴史問題の解決が避けて通れないことを改めて強調したものです。

 大統領は演説で「歴史問題を外交的な争点にするつもりはない」と語りました。ただ、「今年は韓日国交正常化四十周年の特別な年だ。その一方で、韓日協定文書が公開され、いまだに解決されない歴史問題がよみがえり、新たな困難が持ち上がっている」と指摘しました。

 大統領府の金鍾民スポークスマンは同日、「必要なら今後、政策的、外交的に扱われる問題だ」と述べています。日韓請求権協定の再交渉といった形での外交問題化はしないものの、韓国人の被害に対する補償をなんらかの形で実現させ、これに日本が自主的に協力すべきだとの考えを表明したものです。

 韓国外交通商省高官は現地メディアに対し「大統領の演説は、独立運動記念日だから国民にリップサービスしたのではない。真相究明、謝罪、補償、和解という順序で、歴史問題を解決する『人類普遍の方法』を日韓関係でも実現しようと提案したのだ。演説で『法的、政治的な関係の進展だけでは両国の未来を保証できない』と言ったように、未来の韓日関係の大きなビジョンと哲学を盛り込んだものだ」と語りました。

 植民地支配被害者を支援する市民団体「太平洋戦争被害者補償推進協議会」の金銀植事務局長は「大統領の演説は、日本政府に責任があることを強調すると同時に、韓国政府が責任を負うべき部分はしっかりと責任をとるという立場を明らかにした点で非常に意味が大きい。両国の過ちを正す機会だ」と期待を込めます。

 同協議会など八団体で構成する「強制動員被害者団体全国連合」は一日、「韓国政府がまず官民合同で強制連行の被害者に対する補償を推進すべきだ。そうすれば、日本の社会にも変化が起こるだろう」とする声明を発表。日本と韓国がそれぞれ自国の過ちを正面から正してこそ友好関係が築けると強調しました。(面川誠)


 三・一独立運動 一九一九年三月一日、日本の植民地支配に反対して起こった朝鮮の民族独立運動。日本の官憲が激しい弾圧を加え、多数の民衆を虐殺しました。運動は朝鮮全土に波及しました。

 日韓請求権協定 一九六五年六月、日韓両国は「日韓基本条約」と四つの付属議定書に調印。「日韓請求権並びに経済協力協定」で、日本が朝鮮半島に残した資産や韓国(朝鮮)人が受けた被害などに対する相互の請求権が「完全かつ最終的に解決」されたと明記し、日本から韓国への経済協力として三億ドルの無償供与と二億ドルの貸付、三億ドルの民間商業借款で合意しました。朴正熙(パク・チョンヒ)軍事独裁政権は、ごく一部を侵略戦争に徴用され死亡した被害者の遺族に支給しただけで、大部分を浦項製鉄所や京釜高速道路建設などに使用。さらに「慰安婦」、韓国人被爆者、サハリン在住韓国人問題などは協定締結時に論議の対象外だったため、韓国内では請求権協定の再交渉を求める声が出ています。


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