2011年10月31日(月)「しんぶん赤旗」

イベロアメリカ首脳会議閉幕

格差是正 国家に役割

銀行・投資家がまず責任を


 【メキシコ市=菅原啓】南米パラグアイで開催されていた第21回イベロアメリカ首脳会議は29日、貧困削減、格差是正などの課題で国家の果たすべき役割を強調した「アスンシオン宣言」を採択して閉幕しました。

 議長国パラグアイのルゴ大統領は、欧米の財政問題を契機とした世界的な経済危機が中南米に波及しつつある状況に触れ、この危機が浮き彫りにしているのは、「市場の論理や優位性から国家を取り戻す必要性だ」と発言。各国国民の平等や幸福のために奉仕する国家の役割が重要だとのべました。

 メキシコのカルデロン大統領は、欧州の財政危機の解決方向について、国債を保有する銀行や投資家がまず責任をとり、損失を受け入れるべきだと主張。国際社会全体や「多くの国の貧しい人々が政府の無責任な行為の代償を支払う理由はない」として、責任のない諸国民に犠牲が押し付けられる措置には賛成できないと表明しました。

 ペルーのウマラ大統領は、各国で実施されている貧困削減などの社会政策が、現金をばらまくだけの援助主義に陥らず、「生産につながるもの」となるべきだと提起。その点で国家の主導的な役割が必要だと力説しました。

 採択された宣言は、「危機の時代のもとで、社会全体、とくにもっとも弱い階層を守る政策、計画、行動を促進する」と強調。具体的な施策は、生産部門と雇用を増大させる方向をとるべきであり、その際、一部の階層に社会的コストが押し付けられることを回避すべきだとの考えを明らかにしています。


 イベロアメリカ首脳会議 イベリア半島にあるスペイン、ポルトガルと、かつて両国の植民地だった中南米諸国が毎年開く首脳会議で、1991年に創設。現加盟は22カ国。貧困削減や雇用創出、持続可能な開発戦略など、各国に共通する課題や国際的な問題を議論し、相互協力を促進することが目的です。





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