2011年10月27日(木)「しんぶん赤旗」

主張

米国防長官来日

新基地建設への暴走許さない


 アメリカのパネッタ国防長官が来日し、野田佳彦首相や玄葉光一郎外相、一川(いちかわ)保夫防衛相と会談しました。

 一連の協議は日米軍事同盟を強化し、沖縄の米軍普天間基地の「移設」を前に進めるためのものです。野田首相は長官の来日前に、「移設」への「熱意」を示すため閣僚を相次いで沖縄に送り込み、県民のひんしゅくを買ったばかりです。県民のゆるぎない反対の意思をふみにじり、普天間基地「移設」を加速させるのは、県民を裏切る、許しがたい「暴走」です。

なりふり構わぬ同盟強化

 野田首相がパネッタ長官との会談に先立ち、玄葉外相、一川防衛相を集め、普天間基地「移設」の前提となる環境影響評価(アセスメント)書の沖縄県への年内提出を伝えると確認したことも異例です。パネッタ長官も年内提出を「3人とも口をそろえて言われた」と喜びを隠しません。

 まさにアメリカに直結する内閣として、日米軍事同盟強化になりふりかまわぬ態度です。評価書の年内提出は野田首相が日米首脳会談でオバマ米大統領に示した「移設」を「前に進める」との合意にもとづくものです。「移設」に反対する県民の意思を力ずくでふみにじるものです。

 アセスの最終段階となる評価書の提出は、新基地建設のための辺野古(へのこ)沿岸部の埋め立て申請につながるものだけに重大です。パネッタ長官も埋め立て申請をいつまでにとは求めなかったものの「できるだけ早期に」と“期待”を表明しています。

 防衛省が辺野古沿岸部で行ってきたアセスは、「欠陥・違法」がくりかえし指摘されてきたものです。沖縄県環境影響評価審査会も批判し、住民はアセスやり直しを求める訴訟をおこしています。騒音被害が激しく墜落する危険の高い最新鋭輸送機オスプレイを配備するというのに、もともとアセスの対象から除外しているのは事業の影響を評価するというアセスメント法の趣旨に反しています。沖縄県はオスプレイの「調査を実施しなければならない」(9月30日沖縄県議会、下地寛環境生活部長)とのべています。

 欠陥が明白なアセスのやり直しもせず、年内に評価書を提出するなど許されるはずはありません。本来「移設」の前提にしてはならないものを持ち出すのは、アセスメントの手続きそのものを空洞化することになります。

 普天間基地はアメリカ政府ですら「世界一危険」と認めた基地であり、昼夜を問わない爆音被害で多くの住民を苦しめています。どこに「移設」しても苦しみはなくなりません。沖縄県民の「負担軽減」というなら「移設」計画そのものをやめ、普天間基地を撤去するしか道はありません。

「米国直結」見直せ

 日米両政府が一体となった普天間基地「移設」の押し付けに県民の怒りは強まるばかりです。沖縄県議会の高嶺善伸議長は「県民の頭越しに移設手続きを進める動きは誠に遺憾」と批判します。名護市の稲嶺進市長も「移設」を「力でもって押してでもやろうとしているのか」と反発しています。

 「移設」反対の県民の意思に逆らえば一歩も前に進めないのは明白です。「米国直結」の「移設」計画は直ちに断念すべきです。





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