2011年10月23日(日)「しんぶん赤旗」

米、イラク完全撤退へ

開戦9年 米大統領が表明

刑事訴追免除拒否で決裂


 【ワシントン=小林俊哉】オバマ米大統領は21日、イラク駐留米軍を公約どおり年内にすべて撤退させると表明しました。ブッシュ前政権時代の2003年3月に開戦して以来、9年近く続いたイラク戦争は終結することになります。


 ホワイトハウスで声明を発表したオバマ氏は「公約した通り、イラクに残っている米軍は、今年中に帰国する。9年近く続いたイラク戦争は、終結する」と表明。現在4万人規模の駐留米軍を、駐留協定が失効する今年中に完全撤退させると強調しました。

 米メディアは、米・イラク両政府の間で、12年以降の米軍の駐留延長について水面下で協議してきたと報じています。しかし、米兵の刑事訴追の免除などについてイラク側が拒否したことで、交渉は決裂したといいます。

 イラク戦争の終結は、08年大統領選でのオバマ氏の最大の公約の一つでした。

 オバマ氏は同日、マリキ・イラク首相と衛星通信による会談を実施。米・イラク関係については「主権国家同士の普通の関係となる。相互利益と相互尊重に基づく対等のパートナーシップだ」と述べました。

 両首脳は、今後の両国関係について高官レベルでの協議を続け、12月にはマリキ首相の訪米で合意。オバマ氏は「(イラク軍に対し)訓練や装備の面でいかに援助していくかの議論は続ける」と述べました。

 同日、ホワイトハウスのマクドナウ国家安全保障担当副補佐官は、「米軍が他の諸国にも実施しているような訓練」などは続けるとの考えを示しました。12年以降は、少数の米軍兵士と、米外交官などを保護する民間軍事業者がイラクにとどまる見通しです。

 野党・共和党は、オバマ氏の決定について、テロが相次ぐイラクの治安状況などを挙げ、「イラクには治安を維持する能力が欠けている」「完全撤退は前途を多難にする」(メコン下院軍事委員長)などと批判しています。

 イラク戦争での米兵死者はこれまでに4469人。戦費は9000億ドル(約68兆円)に上ります。民間人犠牲者は10万人を超えるとみられています。





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