2011年10月23日(日)「しんぶん赤旗」

野田内閣 米国の「使い走り」

TPP 「アメリカ化だ」議員集会


 環太平洋連携協定(TPP)問題や普天間基地問題で、アメリカの顔色をうかがう「使い走り内閣」(志位委員長)と化した野田内閣。その姿勢が批判と矛盾を広げています。


 「(TPPは)農業のほか、医療、公共事業と幅広い。一口で言えば、アメリカ化。国の制度をアメリカのように変えろといっている」「今回の前のめりの世相を見ていると、相変わらず政治家の一部、経済界は対米従属だ」

 与党議員らでつくる「TPPを慎重に考える会」の決起集会(21日)で、「自由化論者」を自任する榊原英資・元財務官はこうのべました。

 さらに集会では「自戒をこめていえば、何でもアメリカの通りにすればこの国がよくなると早合点してもいけない」(鳩山由紀夫元首相)、「ルールのアメリカ化を許してはならない」(原口一博元総務相)と続きました。

 反対世論が広がり、与党内にも矛盾が広がっています。

 野田内閣が11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議前に参加を決定しようと暴走する理由は米国の都合だけ。「APECの場を利用して、太平洋地域での開放、自由、透明、公正な貿易を求めていく」(クリントン米国務長官、14日)という米国への「手土産」にしたいのです。

 国民的議論より米国の都合。あまりの拙速ぶりに、「報道ステーション」(20日放映)で司会の古舘伊知郎氏は「アメリカに急がされたなかで日本が入っていって、粘り強い交渉ができるのか」と首をひねりました。

「普天間」 「思考停止状態」元政府高官

 米軍普天間基地に代わる新基地建設へ向け、環境アセスメントの最終段階となる「評価書」を年内提出しようとあせる野田内閣。元政府高官は「政府の評価書提出方針の表明は、米国のためのアリバイづくり以外の何ものでもない。現行案(辺野古『移設』)はどう考えても実行できない」と指摘します。

 “アリバイづくり”は、9月の日米首脳会談で、「結果を出せ」と迫られたため。今月、沖縄担当、外務、防衛の3閣僚が連日のように沖縄入りし、「評価書」の年内提出方針を伝えました。米海兵隊グアム移転をめぐる米議会の審議が12月にヤマ場を迎える事情が優先されたのです。

 この異常事態に、沖縄の地元紙は「大臣は米国のご用聞きか」(琉球新報18日付)、「民主主義が泣いている」(沖縄タイムス20日付)と痛烈に批判。「沖縄の民意を背負って米政府と交渉すべき日本政府は逆に、米国の便益を優先して沖縄の頭越しにことを進める。こんなあべこべがまかり通っていいのだろうか」と指摘します。沖縄以外の地方紙でも批判が広がります。

 前出の元政府高官はいいます。「米国だけを向き、対中国、対ロシアには戦略がなく思考停止状態だ。そんな政治、外交、防衛政策は幼稚であり異常だ」





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