2011年10月18日(火)「しんぶん赤旗」

辺野古のアセス 「年内」表明

米の“結果”要求に動き急


 政府が辺野古新基地に関する環境アセスの最終段階=「評価書」の年内提出に動きだしたのは、米側の事情から逆算して「結果を出す」(キャンベル米国務次官補)ためです。

 米議会では、普天間基地「移設」の遅れなどを理由に、在沖縄海兵隊のグアム移転計画への財政支出を認めていません。上院歳出委員会は普天間「移設」について、来年5月25日までに進展状況や将来展望を報告するよう求めました。

ぎりぎりの時点

 それまでに「進展」が見込めない場合、普天間「移設」もグアム移転も実現がとん挫するとの見方が強まっています。オバマ米大統領が9月の日米首脳会談で野田佳彦首相に対して、「(普天間で)進展に期待する」と述べたのにも、そのような事情があります。

 これに応えるため、6月の沖縄県議選後にも、沖縄県が管理する辺野古周辺海域の埋め立て申請を、防衛省が提出する動きが浮上しています。

 申請をするにはアセスを終了させなければなりません。(1)知事意見提出で90日(2)知事意見をふまえた補正・修正の作業(3)住民向けの公告・縦覧で30日―の「評価書」手続きを県議選前に終わらせるためには、今年末がぎりぎりのタイミングといえます。

県民無視の空論

 しかし、この想定は沖縄県民の声に耳をふさいだ、まったくの机上の空論です。

 そもそも、アセス手続きを2009年度中に終了し、10年度から着工するというのが政府の想定でした。

 しかし、この間に自公政権の崩壊や名護市で新基地建設反対を掲げる稲嶺市政が誕生し、当初は新基地を容認していた仲井真知事も普天間基地の「県外・国外移設」に方針転換しました。このため、「評価書」を出したくても出せない状況が続いてきたのです。

 また、辺野古新基地のアセス自体、米側が12年から配備を予定している新型離着陸輸送機MV22オスプレイを前提にしていないなど、数々の矛盾が指摘されてきました。

 さらに、沖縄県内外から寄せられた多くの住民意見で矛盾や欠点が露呈。結果的にアセス手続きを遅らせ、矛盾を拡大する大きな力になりました。

 「評価書」手続きについても、沖縄県の判断任せではなく、全国で新たな運動を広げる必要があります。 (竹下岳)


反対の世論揺るがず

 大西照雄さん(ヘリ基地反対協代表委員)の話 日本政府が環境アセス「評価書」の年内提出を明言したことは、アメリカの“悪代官”的な要求に応えるものです。

 普天間基地の県内「移設」反対の沖縄県民の意思は揺るぎません。アメリカは財政難と、米議会から辺野古「移設」見直しの議論が高まるなど内部矛盾を抱えています。

 これからも沖縄に対してどう喝は続くだろうし、アセスも「事務的行為だ」などといって押し進めようとするでしょうが、動きの一つ一つを警戒し、許さない全国的なたたかいを繰り広げることが重要です。

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