2011年10月17日(月)「しんぶん赤旗」

ウォール街行動

無視できない米政界

“敵視”から“理解”


 【ワシントン=小林俊哉】米国各地に広がり、1カ月ほども続いているウォール街(米金融の中心地)への抗議行動は、民主、共和の二大政党の側も無視できない存在となりつつあります。


 「人口1%の富裕層の貪欲」への抗議を掲げる運動参加者を「反資本主義」などと当初は“敵視”していた野党・共和党の有力議員は、最近では「不満は理解できる」とトーンを変えています。

 「群集が街を占拠し、米国人同士を敵対させている」(7日)と述べていたカンター下院共和党院内総務は「彼らが不満を持つのも当然だ」(11日)と発言。「この階級闘争は危険だ」(4日)と述べていた同党大統領予備選候補者ロムニー元マサチューセッツ州知事も「自分は、1%の方ではなく、99%の庶民のことを心配している」(10日)と述べ始めています。

 ABCニュースとワシントン・ポスト紙の共同世論調査では、ウォール街の金融機関について、「好ましくない」と回答した人が7割。運動参加者に「職がないなら、自分を責めろ」(5日)と述べていた共和党大統領予備選候補者のケイン氏も「(責める)対象は、オバマ政権の経済失政だ」(11日付)と述べました。

 この運動に厳しい目を向けているウォール・ストリート・ジャーナル紙まで「彼らには一理ある」との社説(14日付)を掲げました。同時に、「(運動の標的は)ウォール街の200マイル南だ」として、ホワイトハウスに抗議を向けるべきだと論じています。

 オバマ政権は、ウォール街に怒りの矛先が向かっている状況を捉え、金融規制強化策などを骨抜きにしてきた共和党や金融界への批判を強める構えです。ワシントン・ポスト紙(15日付)は、ロムニー氏が金融界出身であることから、共和党をウォール街・富裕層の味方だと批判を強める作戦だと報じています。

 NBCニュースなどの世論調査では、8割の人が、ウォール街への抗議運動を知っていると回答。国民の関心が高まる中、“悪いのはウォール街かオバマ政権か”で争い始めた2大政党の姿は、運動が米中央政界の議論を動かし始めたこともうかがわせます。





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