2011年10月17日(月)「しんぶん赤旗」

米原子力空母GW退役検討

後継艦 横須賀配備の危険も


 「予算削減で空母ジョージ・ワシントン(GW)は沈没してしまうのか」(米軍準機関紙「星条旗」)―。米政府の深刻な財政危機を受け、大幅な国防費削減を迫られている米国防総省が、米海軍横須賀基地(神奈川県)を母港にするGWの退役を検討していると報じられ、注目を集めています。

「緊縮財政時代」

 今回の報道の発端は、新米国安全保障センター(CNAS)が今月4日、「厳しい選択―緊縮財政時代における責任ある国防」と題した報告書を公表し、空母の削減を提示したことです。同センターは、キャンベル米国務次官補(東アジア担当)が設立した、オバマ米政権に近いシンクタンクです。

 同報告書は、国防費削減案の一つとして、空母1隻を退役させ、現行の空母11隻体制を10隻体制に縮小することにより、今後10年間で70億ドル(5390億円、1ドル=77円で計算)の節約ができるとしました。

 報告書公表の直後、米軍事専門誌「ディフェンス・ニュース」6日付(電子版)は、海軍当局者が空母1隻の退役を検討していることを国防総省筋が認めたとし、GWがその対象だと報じました。

 同誌によると、GWなどニミッツ級原子力空母の寿命は50年で、その中間点で、核燃料の交換を含む、3年がかりの大規模整備(RCOH)を行うことになっています。

 費用は2億ドル(154億円)以上。現在、空母セオドア・ルーズベルトがこの大規模整備を行っており、2012年夏には空母エイブラハム・リンカーンが実施予定。その次がGWで、16年からの予定になっています。

 検討されているのは、このGWの大規模整備を実施せず、燃料が尽きれば、そのまま退役させるという計画です。空母リンカーンについてはすでに整備費用を支払っており、キャンセルできないといいます。

21年までに退役

 計画が実現すれば、GWは21年までに退役することになり、これに伴い空母航空団も解散します。

 「星条旗」8日付(電子版)は、GW退役のアイデアは、ここ数カ月の米議会における財政赤字削減論議の中で、議員や予算専門家によって言及されてきたと指摘しています。

 一方、米海軍は「13米会計年度大統領予算案が12年2月に議会に提出されるまで具体的な詳細を議論することは適切ではない」とし、公式のコメントは避けています。

 今回の一連の報道では、GWが退役した場合、横須賀に新たな後継空母が配備されるかどうかについては触れられていません。

 ただ、米戦略上、後継空母の横須賀配備は間違いないとの見方が有力です。危険な原子力空母の母港化が自動的に解消されることはないといえます。

 (榎本好孝)





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