2011年10月13日(木)「しんぶん赤旗」

民主化進めるミャンマー

ASEAN議長へ条件整備

中国依存から脱却を図る


 ミャンマー政府が政治囚の段階的な釈放を始めました。2014年の東南アジア諸国連合(ASEAN)議長国を希望するミャンマーにとって、民主化の進展は、その不可欠の条件。政治囚釈放を求めてきた欧米などによる経済制裁が解除されれば、東アジア首脳会議を切り盛りするASEAN議長国を務める上での大きな障害が取り除かれます。

 ミャンマーへの投資や貿易を制限する制裁は、欧州連合(EU)のほか、東アジア首脳会議に参加する米国、オーストラリア、ニュージーランド、日本などが科しています。民主化が進展しないまま14年を迎えれば、これらの首脳の出席は見込めず、ASEANが数十年間をかけて築き上げてきた“東アジアの平和と安定に向けた「運転手役」”という地位への致命的な打撃になりかねません。

 今年のASEAN議長国インドネシアのマルティ外相は、7月のASEAN地域フォーラム(ARF)での記者会見で、「ミャンマーの議長国就任は、ASEAN内部では合意している。だが、14年はASEAN共同体結成を翌年に控えた決定的に重要な年だ。議長国の役回りを果たせる条件が整うのを見届けなければならない」と語っていました。

 欧米中心の制裁は、中国資本の突出したミャンマー進出を招き、ロイター通信によると「ミャンマー国民の間で中国への反感が強まっていた」といいます。ミャンマーのテイン・セイン大統領が先月末、中国との合弁で進めていた巨大ダム建設の中断を発表したのは、制裁解除後の欧米からの投資や世界銀行、国際通貨基金(IMF)からの協力を見越した上で、中国依存からの脱却を図る動きと受け止められています。

 ミャンマー政府は3月の「民政移管」後、民主化運動指導者アウン・サン・スー・チー氏との対話を重ねたほか、報道やインターネットの規制緩和、外国メディアの積極的な受け入れなど、民主化措置を徐々に推進。8月にはスー・チー氏と政府代表が、「民主主義の進展と経済・社会発展のために建設的に協力する」と明記した共同声明を発表しました。

 スー・チー氏は12日、「政治囚の釈放を本当に感謝する」と述べる一方で、「すべての政治囚釈放を望む。より多くの政治囚が釈放されれば、この国はもっと良くなる」と政府に要求。いっそうの民主化推進を求めました。 (面川誠)





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