2011年10月8日(土)「しんぶん赤旗」

チリは国民の諸要求に応えよ

IMFが法人増税勧告


 【メキシコ市=菅原啓】国際通貨基金(IMF)は6日に発表した報告書「地域経済展望 米州」の中で、南米チリの財政状況を分析し、国民の諸要求の高まりに応えるためにも、大企業優遇の減税などを見直し、法人税増税に踏み切るべきだと勧告しました。


教育費影響も

 報告書は、チリ、メキシコ、ペルーの3カ国だけに特定したもので、「企業が支払う税率を国際水準に引き上げ、気前の良い優遇策や税制上の譲歩を減らし、直接税を増額する可能性が検討されるべきだ」と指摘しています。

 IMFは長年、途上国への融資の条件として、多国籍企業の投資につながる企業向け減税措置導入を押し付けてきた経緯があります。チリの地元紙の中からは、IMFの政策転換に注目し、「新興国にとって重要な方向転換となる」との声が上がっています。

 チリでは、公教育の無償化や教育予算の抜本的な拡充を求める学生や教員の運動が盛り上がっています。しかし、ピニェラ政権は、学生らの要求を拒否し続けています。

 学生団体は、政府にたいして、教育無償化の財源として、南米で2番目の規模となっている軍事費の削減や銅輸出収入の活用を提起してきました。これに対して政府側は、5日の交渉でも学生側の提起にまともに答えず、奨学金支給対象を一部の低所得層だけに限定する政策に固執。このため、交渉は決裂しています。

 今回のIMF勧告について、チリのメディアは「政府が(教育の)無償化を拒否し、学生を弾圧する中、IMFが(法人税)増税呼びかけ」(モストラドル6日付)との見出しで報じました。IMFの勧告は、教育政策をめぐる学生と政府の対立の行方にも影響を与えつつあります。





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