2011年10月3日(月)「しんぶん赤旗」
パレスチナ占領 損失はGDP85%分
自治政府報告書 “見積りは低め”
【カイロ=伴安弘】パレスチナ自治政府の国民経済省とエルサレム調査研究所が9月29日に発表した報告書によると、イスラエルの占領によるパレスチナ経済の損失は昨年、約70億ドル(約5400億円)に達したことが明らかになりました。
この額はパレスチナの名目国内総生産(GDP)の85%に相当します。報告書は「イスラエルの占領がなければパレスチナ経済は今日のほぼ2倍の規模」で、国際支援頼みの経済を終わらせることができただろうと述べています。
報告書の資料によると、イスラエルはヨルダン川や死海の利用、ヨルダン川西岸の地下帯水層の利用を禁じています。これによってパレスチナの農業収入で19億ドル、地下鉱物資源で12億ドル、死海の観光で1億4300万ドルの損害を被っています。一方、イスラエルは西岸の鉱物や採石の管理を通じ年間約9億ドル、死海での生産物とその流通によって1億5000万ドルを得ています。
また、イスラエルによるガザ地区封鎖によってパレスチナ経済は19億ドルを失い、同地域での水資源で19億ドルの損害を被っています。
報告書は世界銀行と国際通貨基金(IMF)の資料が裏付けとなっています。ハサン・アブ・リデハ国民経済相は、貿易やその他の資源に関して資料が不足しており、報告書の内容は低めに見積もったものだとしています。
同相は「イスラエルが和平のパートナーであろうとしない理由の一つが占領者としての利得にあることは国際社会には明らかだ」と強調しています。
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