2011年10月3日(月)「しんぶん赤旗」

米雇用対策法案に難題

共和党が富裕層増税反対

与党・民主党は早期採決に慎重


 【ワシントン=小林俊哉】オバマ米大統領は1日、定例のラジオ・インターネット演説で、同氏が提案した4470億ドル(34兆5000億円)に上る雇用対策法案を早急に法制化するよう、野党・共和党に呼びかけました。オバマ氏の必死のキャンペーンですが、法制化にはいくつもの難題が待ち構えています。


 同提案は、公共投資を中心とした社会基盤整備による雇用刺激策や、教員採用拡大、中小企業、労働者向け減税などが柱。財源の多くは、富裕層・大企業向けの優遇税制の見直しによって賄うとしています。富裕層・大企業増税に反対する共和党は、オバマ氏の提案を「階級闘争」として反対し、法制化の見通しは立っていません。

 オバマ氏は「同法案が経済を刺激し、雇用を拡大することは、多くの経済専門家が党派を問わず、指摘している」と主張。「多くの米国民が、職がなく、苦しんでいるときに、どうして反対するのか」と共和党を批判しました。

 共和党は、中小企業減税など、オバマ氏の提案の一部には賛同できる部分があるとして、検討するとの立場です。ただ、同党が過半数を握る下院での議論は、進捗(しんちょく)に乏しい状況です。

 オバマ氏は、12年の大統領選もにらみ、全米をまわって同法案の支持を国民に呼びかけています。9月下旬には、アフリカ系(黒人)、ヒスパニック系など、失業率が特に高い層へのアピールを重視。インターネットなど新しいメディアを活用して、青年層への訴えにも力を入れています。08年の大統領選でオバマ氏の当選に寄与した層と重なります。

 しかし、お膝元の与党・民主党が一枚岩ではなく、同党が過半数を占める上院でも、法案の早期可決は難しい状況です。

 米メディアによると、民主党指導部は早期の採決には慎重な姿勢だといいます。同党内にも大企業増税など、オバマ氏の提案に反対する議員もいるとされ、可決に必要な票が確保できていないという事情が指摘されます。米紙ワシントン・ポストは「オバマ氏が攻勢的な戦略をとっているようにみえる一方で、上院民主党は、右寄り有権者の怒りを恐れる選挙区事情に焦点を当てている」(1日付)と報じています。





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