2011年10月1日(土)「しんぶん赤旗」

日航不当解雇

回避「不可能でない」

証人尋問で稲盛会長 東京地裁


 日本航空にパイロットと客室乗務員の解雇撤回を求める裁判は30日、東京地裁(白石哲裁判長)で客室乗務員原告団に対する第6回口頭弁論を行いました。証人尋問で稲盛和夫日航会長は、165人の整理解雇を回避できたかについて「経理上不可能ではない」と発言し、改めて解雇が不当なものであることが明白となりました。


 稲盛会長は、2月の日本記者クラブ講演で「(解雇した)160名を残すことが経営上不可能でない」と発言しており、「整理解雇の4要件」のひとつ「解雇の必要性」を満たしているのかが、裁判の焦点となっていました。

 法廷で稲盛会長は「(解雇回避が可能なことは)収益からみて、誰が見ても分かる」と証言しました。それでも解雇した理由について、「更生計画では解雇しないといけなかった」と言い訳しました。

 しかし、原告側弁護士からの反対尋問で、更生計画の目標に対して自己資本比率、純資産などの実績が大幅に上回っていることを認めました。人件費削減目標を206億円も超過達成したことを問われ、「希望退職で計画より多く辞めていったからだろう」と、すでに希望退職で十分な人員削減がされていたという認識を示しました。

 解雇を通知した12月9日時点で、日航本体の人員削減目標1500人を退職者が約200人上回っていましたが、稲盛会長は「細かいことは知らなかった」「更生計画上必要だと、管財人に聞いていた」と無責任な発言を繰り返しました。

 日航安全アドバイザリーグループ(柳田邦男座長)の「安全投資は財務状態に左右されてはならない」という提言について、「よく知りません」、航空法103条(「輸送の安全の確保が最も重要である」)を認識しているか問われ、「いま聞かれても、よく分かりません」と、安全無視の姿勢を浮き彫りにしました。原告の島崎浩子さんは、年齢の高い人や病欠歴のある人を解雇対象とする不合理さを証言しました。





■関連キーワード

もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp