2011年9月30日(金)「しんぶん赤旗」

沖縄密約文書 「秘密裏に廃棄」

東京高裁 開示認めず

原告側「公開制度じゅうりん」

逆転敗訴


 1972年の沖縄返還費用を日本側が肩代わりしていたことを示す密約文書の開示を求めた情報公開訴訟で、東京高裁(青柳馨裁判長)は29日、外務・財務両省がこれら文書を「廃棄した」と指摘し、文書は存在していないとして、開示を命じた一審判決を取り消しました。密約文書が故意に廃棄された疑いを指摘する司法判断は初めて。


 原告らが開示を求めていた文書は、(1)米軍用地の原状回復費用400万ドルの負担を示す「吉野―スナイダー討議記録」(71年6月12日付)(2)米国への無利子預金などを示す「柏木―ジューリック覚書」(69年12月2日付)など外務省・財務省に関連する5点です。これらは米公文書館で発見されていますが、政府はこれまでの調査で文書は見つからなかったとしています。

 一審では外務・財務両省による文書の保有を認めた上で、両省による調査が不十分であるとして、歴代の事務次官など幹部職員を含む徹底的な調査を行うよう求めていました。

 これに対して高裁判決は両省による密約文書の保有を認める一方、これまでの調査結果は「信用性は高い」と断定。その上で、情報公開法の施行前に「文書を秘密裏に廃棄し、保管から外した可能性を否定できない」と述べました。

 原告側は「沖縄返還交渉の関連文書で、外務省はゴミのような文書まで大量に保管し、公開している。核心的な文書が存在していないはずがない」(作家・澤地久枝さん)、「破棄したから仕方ないというのか。情報公開制度をじゅうりんしている」(毎日新聞元記者・西山太吉さん)などと判決を批判。今後、判決文を検討して最高裁に上告するかどうかを決めるとしています。





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