2011年9月27日(火)「しんぶん赤旗」

「整理解雇不可欠」は誤り

JAL不当解雇裁判 口頭弁論

醍醐東京大学名誉教授(会計学)が証言

東京地裁


 日本航空にパイロットと客室乗務員の解雇撤回を求める裁判は26日、東京地裁(渡邉弘裁判長)のパイロット原告団に対する第6回口頭弁論で、4人に証人尋問を行いました。会計学の第一人者・醍醐聰東京大学名誉教授は、日航の財務を詳しく検討し、「整理解雇が不可欠だ」という会社側の主張が成り立たないと指摘しました。


写真

(写真)裁判報告集会に集まった日航労働者と支援者たち=26日、東京都内

 醍醐氏は、日航の財務が悪化した理由について、ドル先物買いで2200億円の損失、ホテル・リゾート事業で1300億円の損失、2009年3月期には燃油取引で1900億円の損失など経営の失敗を指摘。「経営判断が問われないといけない」と労働者の責任ではないことを明らかにしました。

 経営の改善には「(空港の着陸料などの)公租公課の削減がもっとも重要だ」と強調。公租公課は長年、赤字の地方空港建設に使われています。日航は売上高の1割も占める年間1700億円を支払っており、ゆがんだ航空行政をただすことが必要なことを明らかにしました。

 また165人を解雇した人件費削減は年間14・7億円であり、コスト削減の有効な効果がないと指摘しました。

 財務状況について、更生計画では2013年3月末までに会社の純資産を1807億円に増やす計画ですが、今年3月末の時点ですでに2180億円を超えています。醍醐氏の算出で、今年3月末の日航の現金預金は3500億円であり、全日空の現金370億円と比べても健全であり、解雇の必要性がないことを証言しました。

 会社側がリスクに備えるため解雇が必要だと主張していることに対し、醍醐氏は「いつ起こるかわからないリスクに備えることになれば、どんな健全な企業でも整理解雇できてしまう」と批判しました。

組合嫌悪した差別的解雇だ

 また、清田均原告団事務局長は、空の安全について証言しました。清田氏は病欠歴のあるパイロットを解雇したことで体調不良を安心して自己申告できない環境となり、年齢の高いパイロットの解雇でベテランの経験を継承することが困難になったと訴えました。

 機長部門では、会社の削減目標が130人であり、昨年10月時点で140人が希望退職に応じたのに、年末に18人が解雇されました。解雇された機長には、労働者組織役員が多数含まれており、会社が労働組合を嫌悪した差別的解雇であることが浮き彫りとなりました。





■関連キーワード

もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp