2011年9月21日(水)「しんぶん赤旗」
メキシコ 男女収入格差、中南米で最悪
世銀報告
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【メキシコ市=菅原啓】メキシコで働く女性の収入は男性の8割にとどまり、男女の収入格差が中南米諸国で最悪水準にあることが明らかになりました。
世界銀行が18日発表した『世界開発報告2012。両性の平等と開発』によると、中南米全体では、働く女性が過去30年間に約7000万人増加し、労働市場に占める女性の割合が36%から52%に急増しました。報告は中南米地域の女性の労働参加における「不平等は他のどの地域よりも急速に減少した」と指摘しています。
同時に、働く女性の半数以上が低賃金で社会保障のない“非正規”であることから、女性労働の質は依然として「憂慮すべき状態が続いている」とのべています。
ただ、中南米の多くの国では、経済成長が女性の収入増をもたらし、女性の収入は男性より約1割低い程度まで改善されてきました。しかし、メキシコの女性の場合は、男性より収入が2割少なく、男性との賃金格差では中南米諸国平均と比べ10ポイントの開きがあります。
報告作成に関わったルイス・ベンベニステイス氏はメキシコ市での記者会見で、労働、教育、健康などあらゆる側面での男女平等の実現が、基本的人権として重要なだけでなく、経済的観点からも意義があると強調。今回の報告では、両性のさらなる平等がすすめば、生産性が向上し、国によっては16%の経済成長につながる可能性があるとの分析を示しました。