2011年9月21日(水)「しんぶん赤旗」

米大統領 3兆ドル赤字削減策発表

富裕層・大企業に負担増

野党・共和党「階級闘争」と非難


 【ワシントン=小林俊哉】オバマ米大統領は19日、ホワイトハウスで演説し、富裕層・大企業優遇税制の見直しなどで、今後10年間で3兆ドル(230兆5000億円)規模の赤字削減を目指す方針を発表しました。同時に、富裕層増税のないまま、医療保険制度などの福祉施策を切り捨てる措置については、拒否権を発動すると述べました。

 オバマ氏は演説で「貧困者や中間層の負担で予算均衡を図るわけにはいかない」と強調。「年収5万ドルの教員や建設労働者が、5000万ドルも稼ぐ富裕層より高い税率を支払うというようなことは、間違っている」と述べ、各種控除で税率が軽減されている富裕層・大企業に負担を求める姿勢を改めて鮮明にしました。

 下院で多数を占める野党・共和党は、富裕層増税に反対し、社会保障分野の大幅削減を強く主張しています。同日も、ベイナー下院議長はオバマ氏の提案を「階級闘争だ」として、強く非難しました。

 オバマ氏の提案は、(1)8月に成立した予算統制法による裁量経費削減1・2兆ドル(2)アフガニスタンやイラクからの兵力撤退による戦費削減1・1兆ドル(3)税制改正による税収増1・5兆ドルなどが主な内訳となっています。

 税制改正では、税率の全般的引き下げをはかる一方、抜け穴の廃止、年収100万ドル以上の富裕層の税率が中間層の税率より低くなるような各種規定の廃止などを定めています。

 高齢者向け公的医療保険制度(メディケア)の費用抑制などを共和党が求めていることについては、高齢者、障害者、低所得者に不利にならないように進めるとしています。

 オバマ氏の提案には野党側が反対していることから、法制化される公算は低いと指摘されますが、オバマ氏は全米遊説で直接、有権者に支持を呼びかける方針です。





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