2011年9月8日(木)「しんぶん赤旗」

南米ペルー・ウマラ政権

資源乱開発ストップ


 【リオデジャネイロ=菅原啓】南米ペルーのウマラ政権は6日、先住民が居住する地域での多国籍企業などによる地下資源の乱開発を抑制するため、開発プロジェクトの実施に先駆けて地域住民の意見を聞く「事前協議法」を公布しました。


先住民の意見尊重

 ペルーでは、多国籍企業の誘致を優先して規制緩和を進めたガルシア前政権の下で、地域住民の意向を無視した鉱物資源開発が急増。事前に何も話がなく、相談もなかったとして先住民が強く反発し、大規模な抗議行動が頻発しています。

 今回の法律により、政府は開発計画を進めるにあたって、影響を受ける先住民らの意見を尊重し、住民投票の実施を義務づけられることになります。

 ペルー政府は同法の公布にあたり、2009年6月に開発に抗議する先住民と警官隊の衝突で34人が死亡した北部アマゾン地域のバグアで式典を開催。式典には、激しい抗議行動を展開した先住民代表も出席し、新法を歓迎しました。

 式典の中で、ウマラ大統領は「最も重要なのは、先住民が市民として扱われ、意見を聞く必要のない小さな子どものように扱われないようにすることだ」と語りました。

 ペルーの国会では、新自由主義路線をとる勢力が長年多数を占め、「事前協議法」案の採決は、先送りされてきました。4月の国会議員選で、新自由主義的政策の転換を主張する勢力が議席を増大させた結果、同法案は8月下旬に賛成多数で可決成立しました。

 ウマラ大統領は、今回の法律の実現を、先住民に対する「歴史的な債務」を支払うものであり、7月末に成立した新政権にとっても「重要な一歩だ」と指摘しました。

 大統領は、外国企業の投資やアマゾン地域の開発自体は重要であり、今回の法律で得た権利を先住民がいたずらに乱用することのないよう警告しました。





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