2011年9月6日(火)「しんぶん赤旗」

パレスチナ国家承認問題

米が議題化を妨害

国連総会を前に


 【カイロ=伴安弘】パレスチナ自治政府がパレスチナ国家の承認を国連に求める問題が、13日開会する国連総会を前に早くも国際的焦点に浮かび上がっています。米国はこの問題を国連の議題にすることを妨害する外交的動きに出ています。


 米紙ニューヨーク・タイムズ3日付(電子版)によると、米政府はこのほど、アッバス自治政府議長に、パレスチナ国家の国連への新加盟に対しては安全保障理事会で拒否権を行使すると伝えました。同時に米国務省は先月、70カ国以上に送った公式のメッセージで、国連でのパレスチナ側によるいかなる一方的な行動に対しても反対するよう要請。米国は「拒否権を行使すれば(中東)地域全体にわたり反米の感情に火をつけ、燃え上がらせる」(米政府のパレスチナ問題担当者ゲース・オマリ氏)ことを恐れています。

 パレスチナの国連加盟には安保理での勧告が必要で、米国が拒否権を行使すれば、葬り去られます。しかし、国連総会の「パレスチナ独立国家承認」の決議は加盟国の過半数または出席国の3分の2で可決できます。総会がパレスチナ国家を承認すれば、パレスチナ解放機構(PLO)が1970年代から得ているパレスチナの資格が「投票権なしのオブザーバー」から「投票権なしの国家」に格上げされることになります。

 これはバチカン市国と同等の資格で、パレスチナが世界保健機関(WHO)など国連の十数の機関や会議への参加資格を得るだけでなく、イスラエルを国際刑事裁判所(ICC)に訴えることも可能になります。

 PLOの幹部のナビル・シャース氏は4日、安保理で正式加盟の勧告が得られなくとも国連の機関に加わると述べ、同時に安保理の勧告を「何度でも」要請すると語りました。

 国連総会での国家承認について自治政府は国連加盟国193カ国中「150カ国以上」の賛成を期待できるとしています。

 一方、欧州連合(EU)は2日の外相理事会でこの問題への統一した立場を打ち出せませんでした。ドイツ、イタリアなどがパレスチナの要請に反対、スペインなどは支持しています。シャース氏によると、アシュトン外交安全保障上級代表(EU外相)がアッバス議長と近く会うまでEUは最終的態度を決定しないことを約束しました。





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