2011年9月6日(火)「しんぶん赤旗」

日航パイロット裁判

解雇の必要なかった

東京地裁 元管財人ら証人尋問


 日本航空にパイロットと客室乗務員の解雇撤回・原職復帰を求める裁判は5日、パイロット原告団の口頭弁論が東京地裁(渡邉弘裁判長)で行われました。元管財人の片山英二弁護士、日航乗員組合の小川洋平副委員長ら4人の証人尋問が行われ、解雇に必要性がなく、会社が組合と誠実な交渉を行わなかったことが明らかになりました。


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(写真)証人尋問の報告集会を開く日航労働者と支援者たち=5日、東京都内

日航側 「安全」に言及せず

 片山氏は、165人の解雇を強行した昨年12月末からわずか3カ月後の今年3月末に、更生債権を一括弁済し、日航の手元資金1400億円を使用したとのべました。

 同じ3月には、日航グループの全従業員に生活調整手当という名目で一時金を支給しており、100億円規模になると認めました。

 165人の解雇によって削減された人件費は14・7億円であり、これらの財源の1%で、解雇を回避できました。解雇しないと危機的状態にあるといえないことが明らかになりました。

 原告側代理人が、日航の再建計画で人員削減の期日は今年3月末であり、昨年12月末に解雇してまで人員削減するよう銀行などからも求められていないことを確かめると、片山氏は「そうかもしれない」と認めました。

 片山氏は「余剰人員を抱えない計画だ」と繰り返し、解雇を正当化。しかし、事業規模は約19%の縮小なのに対し、人員削減数はそれをはるかに超える約33%減でした。

 原告代理人は「いきすぎた人員削減ではないか」とただしたのに対し、片山氏は「検証した」というものの、安全運航への影響などは一言も触れませんでした。

 片山氏は、会社側弁護士との主尋問でも、安全については一切言及せず、安全を軽視し、利益をあげることだけを考え、解雇を強行したことが浮き彫りとなりました。

 労使交渉の経過を証言した小川氏は、「企業再生支援機構に人員削減に反対したら『出資しない』とどう喝され、誠実に話しあえなかった」と強調。「提案したワークシェア(仕事の分かち合い)も無視された不当な解雇だ。安全運航に悪い影響が出ている」と、解雇された労働者の職場復帰を訴えました。

 裁判開始前には、会社側も傍聴券の抽選に管理職など50人を動員し、緊迫した雰囲気に包まれました。





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