2011年8月29日(月)「しんぶん赤旗」

南シナ海問題など焦点

比大統領が訪中へ

「指針」具体化に注目


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 【北京=小寺松雄】フィリピンのアキノ大統領が30日から大統領として初めて中国を訪問し、胡錦濤国家主席らと会談します。企業家も多数参加するなど経済貿易の発展も大きな課題ですが、南シナ海問題で確執があった両国関係が首脳会談で前進へ向かうのかが焦点です。

 南シナ海の南沙諸島(英語名スプラトリー)は、長期にわたって中国、フィリピン、ベトナム、マレーシア、ブルネイ、台湾の間で領有権争いが続いてきました。

 2002年に中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)は、問題の平和解決を約束した「南シナ海行動宣言(DOC)」を締結しましたが、拘束力を持つ「行動規範」に進展させることがこの数年の課題でした。

 今年は中国・ベトナム間だけでなく、中国とフィリピンの間であつれきが強まっているのが特徴です。

 フィリピン政府は3月には「資源探査船の活動が中国の監視船に妨害された」と中国側に申し入れ。6月には「フィリピンの排他的経済水域(EEZ)内の岩礁に中国が建設資材を陸揚げした」と抗議しました。これに対して中国は一貫して「南沙諸島は中国固有の領土」とはねつけました。

 この問題調整のため7月上旬、フィリピンのデルロサリ外相が訪中し、中国の楊潔箎外相に対し「問題を国際海洋法裁判所に共同提訴しよう」と提案したときも、中国の対応は「あくまで当事国間の直接交渉で」という事実上の拒否回答でした。

 ところがこの後、事態は急展開します。東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)を前にした7月20日、中国とASEANとの間で一転してDOC履行の「指針」が合意されました。懸案だった「高度規範」をめざすことも含まれています。

 「指針」の確認はあったものの、南シナ海問題でのASEANの中国を見る目はまだまだ厳しいものがあります。中国、フィリピン両国が、今回の首脳会談で「指針」を踏まえてどのような実質的前進をはかるのかが、注目されています。


 南沙諸島 南シナ海にある、100ほどの小島からなる諸島。第2次大戦中は日本が占領し、終戦で領有権を放棄しました。原油などの海底資源が見込まれるほか通商上の要衝でもあり、各国が領有を主張しています。





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