2011年8月27日(土)「しんぶん赤旗」

リビア新政権準備

国民評議会 首都に拠点移動へ


 【カイロ=伴安弘】リビアの首都トリポリをほぼ制圧した反政府勢力の連合体「国民評議会」は25日、新政権樹立に向け、東部ベンガジの拠点をトリポリに移す作業に着手しました。同評議会副議長のタフニ氏が明らかにしたもの。カダフィ政権崩壊後の政治空白を避け、速やかな政権移行で国際的な認知も得たい考えです。

 しかし、リビア情勢はカダフィ大佐支持派がなお抵抗し、トリポリの一部や大佐の故郷のシルトでは戦闘が続いています。また国民評議会の結束と統治能力にもさまざまな疑問が出されており、今後の展開は不透明さがつきまとっています。

 カダフィ政権は42年にわたる支配で軍事制度を含む国家制度を葬り、政党だけでなく国民の政治参加も破壊してきました。このため、リビアの再建には「一から」の制度づくりが必要です。

 国民評議会のアブドルジャリル議長は22日の記者会見で、「自由と民主主義、公正と平等、透明性に基づいた新しい国家を建設していく」意向を明らかにし、なにより、「法に基づく国家」の建設を呼びかけました。

 しかし、国民評議会は「カダフィ打倒」の一点で集まった寄せ集め所帯で、さまざまな矛盾を抱えているともいわれます。民主活動家だけでなく、カダフィ政権の元高官も含まれ、市民社会の擁護派やイスラム主義者、リビア東部と首都を含む西部の諸部族の代表などからなっています。

 中東の衛星テレビ局アルジャジーラの評論員は、国民評議会は過去5カ月、「地方を基礎に下部から革命グループを組織し、その活動を調整してきており、おおむね統制はとれている」と評価しています。

 一方で、反政府勢力のアブドルファタハ・ユニス最高司令官が7月に暗殺された理由は全面的に明らかになっておらず、カダフィ政権の元内相だった同氏への報復の可能性も指摘されています。首都攻略の戦闘でも反政府勢力の一部による略奪やカダフィ支持派への報復が伝えられます。

 また反政府勢力にイスラム主義者が浸透しているとみられることでは、レッテル貼りの無用な論争を避けるべきだとするアルジャジーラの論調などと並んで、特に欧米では強い警戒感があります。





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