2011年8月24日(水)「しんぶん赤旗」

佐賀県議会 九電幹部を参考人招致

原子力特委 委員長の献金問題も浮上


 佐賀県議会・原子力安全対策等特別委員会は23日、九州電力玄海原発の運転再開に向けた「県民説明番組」(6月26日)の直前に行われた九電幹部と古川康県知事の会談(同21日)メモをめぐり、九電幹部を参考人として招致しました。

 招致されたのは、九電の段上守・前副社長、諸岡雅俊・前常務執行役員、大坪潔晴佐賀支社長の3人です。

 段上氏は「やらせメール」について「知事発言がきっかけではない」と述べました。

 大坪氏は「経済界からも意見を」との会談での知事発言を「知事の持論だと思った。常日ごろ行っている『理解活動』をしっかりやるということだと受け止めた」としました。

 自民党県議などへの働きかけについては、「県議や県民の原子力の安全性や必要性へ理解が深まれば、再稼働へ向けた議論が進むと考えていた」と否定しませんでした。

 段上氏は「県民説明番組」への「やらせメール」を要請した九電のメールについて「知らなかった。指示していない」と否定する一方、視聴を周知する際に「再稼働に向け、番組の『成功』が必要だと考えていた。『成功』とは多くの人が参加することだと思った」と述べました。

 午前10時の開会予定でしたが、木原奉文委員長が九電から献金を受け取っていたことが明らかになり、各会派代表が協議。

 日本共産党の武藤明美議員らが「公正な議事進行ができない」と木原委員長の辞職を要求しましたが、木原委員長は「政治資金収支報告書にも記載しており、やましいことはない」と辞職を拒否して協議が難航したため、午前中は開会されず、午後1時から副委員長が議事を進行する形で開会しました。


解説

九電と自民知事を擁護

 23日に開かれた佐賀県議会特別委では、「会談メモ」や「やらせメール」問題で、自民党議員と九電が古川康知事を一致して擁護するやり取りが繰り広げられました。

 段上守前副社長は、「やらせメール」では「知事の指示はなかった」と述べました。しかし、九電が設置した第三者委員会は「知事の発言が一定の影響を与えたことが考えられる」としています。段上氏は第三者委の見解を真っ向から否定するものです。

 知事と会談したその日に「番組の周知の必要性」で段上氏、諸岡前常務、大坪支社長が一致し、「周知」のメールが発信された経緯、「知事の思いを聞く機会が多かった」との大坪氏の発言から考えれば、会談での知事の発言が引き金となったことは明らかです。

 にもかかわらず段上氏は、事態の原因を支社長が「不正確」なメモをつくったことに帰着させた上、「やらせメール」を「報道で知った」とすべての責任を部下に押し付けようとしました。

 質疑の中で自民党議員が「九電は九州のリーディングカンパニーで、多くの若者のあこがれ」と賛美すると、傍聴席から「(九電と県民の)どっちを向いとるんか」の声が上がりました。真相究明を求める県民の声に応えられるか。県議会の存在意義が問われています。 (内田達朗)





■関連キーワード

もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp