2011年8月18日(木)「しんぶん赤旗」

再生可能エネ 中国

風力発電 世界一

目標 3%(現在)→ 12・5%(2020年)


 東日本大震災による原発事故後、日本だけでなく世界でも再生可能エネルギーの活用に注目と期待が高まっています。原発推進の姿勢をとりつつも、再生可能エネルギーの活用に努力し、風力発電量で昨年、世界一に躍り出たのが中国です。 (天津=小寺松雄 写真も)


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(写真)天津の干拓地に立つ風力発電機

 首都北京に隣接し、渤海(ぼっかい)に面する天津は政府直轄市として、再生可能エネルギー、中でも風力発電に力を入れています。渤海湾に広がる埋め立て地の東端に近い大神堂地区で、昨年夏から風力発電がスタートしました。

 海から1キロ離れた約4平方キロの干拓地。高さ80メートルの13基の風力発電機が稼働しています。プロペラの直径は90メートル。この日の風は強くなく、ゆったりと回転していました。

 案内役の天津社会科学院のスタッフは「この地域だけで年5000万キロワットの電力を提供しています。5万世帯の電気を賄えます」と話します。特に風力発電のクリーンさを強調。「年間では、石炭なら約2万トンの節約になり、6万トンの二酸化炭素の排出を減らせます」と続けました。

潜在力

 現在、中国では、火力と水力による発電が全体の95%を占めます。残り5%が原子力と、風力、太陽光、地熱、バイオマス(生物由来の資源)など再生可能エネルギーを利用した発電です。

 国の経済政策を統括する国家発展改革委員会によると、中国は、現在3%程度にとどまっている再生可能エネルギーの比重を2020年までに12・5%に高めることを目標に掲げています。

 中国の風力発電量は05年から毎年ほぼ倍増し、09年にはドイツを抜いて世界第2位になりました。昨年、新設された風力発電設備容量は1600万キロワット、累計容量は4180万キロワットとなり、初めて米国を抜き世界一となりました。

 面積が広く、海岸線も長いだけに、活用可能量も大きい。中国気象局は「中国の陸と海面から50メートルの高度の風力の潜在的開発量は25億キロワットに上る」と試算しています。

地熱も

 天津の西青開発区で、発電などエネルギー分野の調整管理を担当している宮g(きゅうき)さんを訪ねました。

 「中国には31の風力発電メーカーがある。天津の瑞能集団は大手だ。海に面している天津にはそれだけでも風力発電に有利な条件がある。それに地熱発電の研究も先進的だ」と、再生可能エネルギー分野での天津の可能性を強調しました。

 その一方で、宮さんは「風力発電の占める割合は5〜10%が妥当ではないか」ともいいます。採算を取るには、秒速7メートル以上の風が必要とされることなどを挙げ、「安定性についてまだ懸念がある。これをどう向上させるかが研究課題だ」と述べました。

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