2011年8月17日(水)「しんぶん赤旗」

主張

保育制度改悪ストップ

被災地のメッセージにこたえ


 6日から8日まで群馬県で開催された全国保育団体合同研究集会には、全国から7500人を超える父母、保育関係者、研究者、自治体関係者らが参加しました。日ごろの保育実践を持ち寄って交流しあい、学び合うとともに、民主党政権がすすめる「子ども・子育て新システム」による公的保育制度の解体を許さないたたかいの大きな前進へ、決意みなぎる場となりました。

子どもの命守る保育を

 とりわけ参加者の胸を打ち、感動をひろげたのは、困難を乗り越えて参加した被災地の保育関係者の発言でした。津波から必死で子どもたちを逃がした陸前高田(岩手)からの報告、外で遊べず「こいのぼりはいいなあ」とつぶやく子どもたちを思い放射能とたたかう福島の保育園の苦闘、浸水した保育園の2階で3日間子どもを預かり続けた石巻の保育園。どれもが働く父母と子どもにとってどんなに公的保育制度が大切か、子どもの命を守るためには「新システム」ではなく、現行制度のいっそうの充実こそ必要だということをあらためてうきぼりにしました。

 民主党政権が7月発表した「新システム」中間報告は、児童福祉法の自治体の保育実施義務をなくし、利用料「応益負担」化、営利企業の参入促進など、自公政権がすすめてきた保育を父母の「自己責任」にし、企業のもうけの場にする方針を強行しようとするものです。来年の通常国会へ法案を提出し、2013年度から実施の方針です。

 民主党が待機児童解消の切り札としてうちだした幼稚園と保育所の「一体化」は、関係団体のつよい反対をうけ、幼稚園は当面存続させることになりました。しかし保育制度は、多くの委員から「新システム」への懸念や疑問が出されながら、いっさいの手直しを認めず、あくまで改悪を強行しようとしています。

 重大なのは、保育所の面積基準の引き下げをはじめ、さらには保育士資格のない職員も認める方向を検討しようとするなど、企業参入の促進とあわせて、保育条件の「規制緩和」をおしすすめていることです。大震災を経て、命とくらしを大切にする社会への転換を求める国民の思い、被災地の願いに真っ向から反するものです。

 さらに今回の改悪は、民主党政権の「税と社会保障の一体改革」のなかに盛り込まれ、消費税10%への増税と、福祉・社会保障の削減と一体のものとしてすすめられています。これは、「新システム」の論議の中で財界の委員が繰り返してきた、“事業主負担は許さない、財源は消費税増税で”との主張どおりの方向です。

国民的共同のたたかいを

 財界いいなりの政治による公的保育制度の改悪ではなく、「国民が主人公」のあたらしい政治を実現して、国と自治体の責任でだれもが安心して子育てできる保育をつくることが求められています。

 保育合研の成功も力に、「新システム・ノー」「公的保育制度の拡充を」の声をひろげ、認可保育所増設と保育条件の改善を求めてゆきましょう。日本共産党は国会の内外で、消費税増税と福祉・社会保障切り捨てに反対する国民的なたたかいと力を合わせ、「新システム」をストップさせるために全力をあげるものです。





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