2011年8月14日(日)「しんぶん赤旗」

南米諸国連合

対米依存からの脱却

地域金融基金を創設

決済も各国通貨で


 南米諸国連合(UNASUR)は12日、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで開催した財務相・中央銀行総裁会議で、金融安定化などに活用される地域金融基金の創設や域内貿易の活性化、各国通貨での決済などを推進することで合意しました。対米依存からの脱却、経済的自立に向けた新たな一歩として注目されます。(松島良尚)


 会議は、先月の臨時首脳会議の決定を受け、欧米発の経済危機などに共同で対処する方策を検討するために緊急に開かれました。会議は、UNASURとして経済・金融評議会を設置することも発表しました。

 現地からの報道によると、アルゼンチンのブドゥ経済財務相は会合後の記者会見で、「南米の機関が必要だ。国際機関は、国際通貨基金(IMF)のように、世界経済について一つのビジョンしか持っていないからだ。もう我々に政策を押しつけることはできない」と強調しました。

 同相はさらに、アルゼンチンとブラジルが自動車生産で行っているようなサプライチェーン(部品供給網)を構築し、域内の貿易や雇用を増やしていくことが、どんな危機に対処するうえでもカギになると述べました。

 UNASURのメヒア事務局長は、だれもが「この会議をこの地域にとって歴史的画期とみなした」と指摘。問題の分析にとどまらず、共同して対策を探求し、合意に達した意義を強調しました。

 アルゼンチンの有力紙「パヒナ12」は、「UNASURは、地域の経済的自立を保証し、国際金融危機に共同で対処するうえで、新たな一歩をふみだした」と報じました。

 今回の会議の確認事項は、新たに設置される作業グループでの論議を経て、今月下旬に開かれる外相会議および10月の首脳会議で検討される予定です。


 南米諸国連合(UNASUR) 南米の仏領ギアナを除くすべての独立国(12カ国)でつくる地域協力機構。2008年5月に設立条約を採択。政治的対話の強化、地域統合の促進、貧困や非識字の撲滅、国際社会への参加促進などを目的に掲げています。





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