2011年8月13日(土)「しんぶん赤旗」

高速増殖炉「もんじゅ」

首相「廃炉」発言 次期政権への継承問われる


 退陣を表明した菅直人首相は、「脱原発依存」の推進や、運転停止中の高速増殖炉もんじゅ(福井県敦賀市)の廃炉検討(8日)について、「その後の政権も必ず継承してくれる」と述べ、次期政権への継承を求めました。

 政府はこれまで、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出し再び利用する危険な核燃料サイクル政策を推し進めてきました。しかし、再処理工場は稼働のめどがたたず、もんじゅも1兆円をつぎ込みながら事故で15年間も停止し、実用化のめどもたっていません。日本共産党は、1994年に原子炉始動(臨界)が強行されたときにも、原発の危険を増幅させるとして反対しました。

 退陣間際とはいえ首相の発言は重いものがあります。完全に行き詰まった核燃料サイクル政策の見直しは待ったなしです。

共産党は中止要求

 もともと、2010年5月、もんじゅの運転を再開したのは民主党政権でした。日本共産党の吉井英勝衆院議員は同年2月25日の予算委員会で運転再開をやめるよう求めましたが、政府は「将来のエネルギーの重要な柱」(直嶋正行経済産業相・当時)と押し切ったのです。

 東日本大震災後も日本共産党は核燃料サイクル計画の中止を求めてきました。5月19日の衆院科学技術委員会で吉井議員は、もんじゅから200メートル付近に活断層があり、大地震で配管が破断すればナトリウムが大量に漏れ、火災や爆発を起こすと指摘。井上哲士議員は5月23日の参院決算委員会で、これまでもんじゅにつぎ込まれた税金は9481億円にのぼると批判し、撤退を迫っていました。

撤回の保証はなし

 菅内閣が7月29日に発表した今後のエネルギー政策の中間整理案では、破たんした核燃料サイクル政策について「徹底検証」としているだけで、「新たな姿を追求する」とも述べています。これでは計画の中止・撤回の保証はありません。「もんじゅ」廃炉検討が次期政権に継承される根拠はなく、原発撤退を決断して具体的な撤退プログラムを打ち出すのかどうかが民主党政権に問われています。





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