2011年8月6日(土)「しんぶん赤旗」

タイ新首相選出

インラック氏 女性は初

生活支援策 実施の考え


 【ハノイ=面川誠】タイ下院は5日、貢献党のインラック氏(44)を新首相に選出しました。同氏は現地記者団に対して、7月の総選挙で公約した最低賃金の大幅引き上げなどの大規模な生活支援策を実施に移す考えを示しました。


 インラック氏は2006年のクーデターで失脚したタクシン元首相の実妹。タイで女性首相は初めてで、国王の承認を経て正式に就任し、組閣に着手する予定です。

 バンコクからの報道によると、同氏は「期待に応える政治を行うかどうか、国民は見守っている」と述べ、公約実現に意欲を示しました。

 貢献党は選挙期間中、最低賃金を300バーツ(1バーツ=約2・63円)に引き上げるほか、現在1トン当たり約1万バーツのコメの買い上げ価格を1万5000バーツに引き上げることを公約しました。

 また同党は、法人税を30%から23%に引き下げることも公約し、企業の負担を軽減するとしています。

 このほか、タクシン政権期の政策を復活させ、30バーツで診療が受けられる医療制度、700億バーツの農村基金などを実現するとしています。

 民間研究機関の試算によると、公約実現には国家予算1年分に相当する2兆3000億バーツが必要だといいます。

 クーデター後、首都での大規模な騒乱が繰り返されたタクシン派と反タクシン派の政治対立解消も課題です。貢献党は選挙前、タクシン氏を含めて刑事訴追を受けた両派の主要人物に特赦を与える案を示したことがあります。

 ただ、軍首脳をはじめとしてタクシン氏への反発は強く、新政権が現在亡命中のタクシン氏の帰国を認めれば、政治混乱が再燃すると懸念されています。





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