2011年8月5日(金)「しんぶん赤旗」

ムバラク裁判 内外で注目

独裁者が特別法廷に

「すべての支配者に警告」


 【カイロ=伴安弘】エジプトの首都カイロで3日に初公判があったムバラク前大統領(83)の裁判は、「アラブの変革」で失脚した独裁者が初めて法廷に引き出されたものとして、エジプト内外で注目されています。


 ムバラク被告の裁判は、民主化を求める青年組織らの主要な要求の一つでした。民主化要求デモ弾圧では約850人が殺害されています。

 この日、ムバラク被告は法廷で、デモ参加者の殺害や不正蓄財、土地の不正取引など、すべての罪状について否認しました。弁護側は1600人の証人を出廷させ、審理を引き延ばす構えです。このなかには同被告の長年の盟友だったタンタウィ・エジプト軍最高評議会議長も含まれています。

テレビで放映

 ムバラク被告の出廷をめぐっては、弁護士が心臓発作の病状が重いと裁判長に伝えていましたが、国民の強い要求を無視できずに、政府が出廷は可能と判断。同被告は保養地の病院からヘリコプターで搬送されました。

 カイロ郊外の警察学校に設置された特別法廷では、被告席に設けられた「おり」の中にベッドに横たわったまま入れられました。この模様は世界中にテレビ放映されました。

意思に反した

 警察学校前に置かれた巨大スクリーンを見守っていたアハメド・アメルさん(30)は「私はうれしい。次の大統領は民衆の意思に反したことをすれば何が起きるか知ったことになる」と外国メディアに語りました。

 政治評論家のムスタファ・アルサエド氏は裁判が「アラブのすべての支配者たちに警告を与えるものだ」とエジプト紙に語っています。裁判がリビアのカダフィ大佐やシリアのアサド大統領らへのメッセージとなると指摘する報道もあります。

 次回の公判は15日に開かれます。





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