2011年8月1日(月)「しんぶん赤旗」

相次ぐ改憲発言 夏の“変”

自民 震災口実に必要性強調

民主 改悪ハードル下げ狙う


 この夏、民主、自民両党の有力議員の改憲発言が続いています。

「存在意義がない」

 ○…自民党の石破茂政調会長は30日発売の新著のあとがきで改憲意欲を隠しません。

 「少なくとも改憲を党是とし、集団的自衛権の行使を公約として掲げる自民党はそうであらねばなりません。そうでなければ自民党の存在意義などないに等しいとすら私は思います」

 自民党は2010年に改定した新綱領で改憲政党としての性格づけをより鮮明にしました。自民党国家戦略本部は改憲を中軸とした新綱領に基づく中長期の政策の方向性をとりまとめた報告書(19日)で東日本大震災への対応を口実に、武力攻撃を含む緊急事態に対応可能な憲法を整備する(改憲)必要を強調しました。

「ポスト菅」候補も

 ○…「ポスト菅」を民主党内で競う候補者の1人、小沢鋭仁元環境相は、27日発表した政策提言に「改正要件(憲法第96条)を緩和するための憲法改正の是非を慎重に検討する」と盛り込みました。小沢氏は、民主、自民両党を中心に旗揚げ(6月)した憲法96条改正議連の民主党側代表です。

 自民党と「たちあがれ日本」の議員などでつくる政策集団「創生日本」(最高顧問・平沼赳夫、会長・安倍晋三)は19日明らかにした運動方針で「憲法改正に向けた国民的な議論を喚起する、特に改正発議への障壁を除くために、先ず憲法96条の改正に向けた運動を推進する」としました。

改憲機運盛り上げ

 ○…期せずして改憲の声があがるのは偶然ではありません。来年はサンフランシスコ講和条約締結60周年にあたり、改憲推進勢力は、12年4月28日を「改憲」の第一歩を刻む「Xデー」と位置づけているのです。

 保利耕輔・自民党憲法改正推進本部長は「憲法9条がそのまま残っているというのは占領下の連合国側の考え方に基づく。真の独立国になったこの日(サ条約締結の日)を機会に憲法改正をしっかりやろうじゃないかという考え方がわが党の考え方だ」(6月13日、都内の自民党議員の会合)と語っています。

 民主、自民、公明などの党首脳が加わる新憲法制定議員同盟の中曽根康弘会長(元首相)も4月の推進大会で「サ講和条約60年、憲法だけ変わっていないのは怠け者ではないかと子孫から言われる」と、来年4月28日をターゲット(目標)に改憲機運の盛り上げをはかる狙いを明らかにしています。

独立の障害は安保

 ○…サ条約は、その後60年間、日本を軍事、政治、経済のあらゆる面で対米従属させている日米安保条約体制をもたらし、歴史的領土である千島列島を日本から切り離す根拠ともなっています。日本の真の独立を妨げているのは憲法ではなく、サ条約とセットでひそかに用意され、調印させられた日米安保条約にもとづく日米同盟そのものです。

 歴史と事実を真逆に描く立場から、改憲で真の独立をなどと吹聴しても、世論がその方向へなびくことはないでしょう。「朝日」調査(5月)は「憲法9条を変えない方がいい」が、変える方がいいの約2倍を示しています。

 むしろ東日本大震災と東電福島第1原発への対応を通して、果たして独立国の責任ある政府の対応なのか、憲法の原点にたつべきだという指摘もあります。





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