2011年7月29日(金)「しんぶん赤旗」

主張

サラ金議員「勉強会」

“高金利地獄再び”目指すのか


 サラ金など高利貸しの深刻な被害を防ぐため2006年の国会で全会一致成立した改正貸金業法が昨年6月に完全施行されて1年余が過ぎました。返済しきれないほどの借金を背負った「多重債務者」は100万人以上減り、個人破産、多重債務を原因とする自殺者もはっきり減少するなど、改正法は大きな力を発揮しています。

 ところが国会で、「規制が過剰で業者が苦しんでいる」と、同法を骨抜きにする法「再改正」を目指す超党派の議員の動きが起きています。重大な“逆流”です。

超党派で“提言”

 改正貸金業法は、▽借り過ぎ・貸し過ぎを抑えるため借入残高を年収の3分の1までとする「総量規制」▽金利の法定上限を29・2%から15〜20%にする「上限金利の引き下げ」―の二つが大きな柱です。法改正当時、サラ金業界はこれに激しく抵抗し、全国貸金業政治連盟からの政治献金、パーティー券購入など大規模な政界工作を行いました。

 反対勢力の言い分は、「借りたくても借りられない人が出る」「ヤミ金融がはびこる」というものでした。しかし、改正法施行後も、融資申込者の7割は希望通りの融資を受けています。ヤミ金被害は顕著に減少しています。反対派の主張が破綻していることは事実で証明済みです。にもかかわらず、改正時と同じ反対論をくり返しているのが超党派の一部国会議員による「勉強会」です。

 自民党の平将明衆院議員を中心とした「『貸金業法改正』の影響と対策に関する勉強会」は今年2月に始まりました。呼びかけ人に、民主党から樽床伸二、田村謙治両衆院議員、大久保勉、藤末健三両参院議員、自民党から竹本直一、平沢勝栄、河野太郎各衆院議員、公明党から遠山清彦衆院議員、西田実仁参院議員、みんなの党から桜内文城参院議員、国民新党から下地幹郎衆院議員が名を連ね、これまで7回、毎回30人程度の国会議員が参加しています。

 7月になって「勉強会」がまとめた「提言」は、上限金利をかつての29・2%と同水準に引き上げる、総量規制を大幅に緩和するというものです。サラ金が取り立てた「過払い利息」の返還についても、業者の救済を図るべきだとしています。だれのための法「再改正」なのか、あけすけです。

 「勉強会」では、「いまの金融行政は消費者保護に偏りすぎている」「金利は自由にすべきだ」といった暴論が交わされています。「市場原理主義」「規制緩和万能論」ですすめた「構造改革」の政治が貧困と格差の大きな傷痕を残し、新たな経済的・社会的ルールの構築が必要なときに、無責任で時代錯誤の主張といわざるをえません。

逆流許さぬ世論を

 「勉強会」は、「提言」の内容で政府や各党への働きかけを強め、議員立法による法「再改正」を目指すとしています。こうした企みを芽のうちに摘む、世論と運動が求められています。

 改正貸金業法は、自殺や家庭崩壊、破産など「多重債務」問題の悲惨さに世論の批判が高まり、サラ金被害者や幅広い市民、法律家の大きな運動が実を結び、多くの圧力をはねのけて実現したものです。高金利被害を生まない社会を目指し、逆流を許さず、社会的な合意を大きく広げるときです。





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