2011年7月22日(金)「しんぶん赤旗」

自民党の「ベストミックス」論

原発推進の合言葉


 自民党の国家戦略本部(本部長・谷垣禎一総裁)が20日に発表した「日本再興」と題した報告書。中長期的な政策立案の柱となる同報告書で示されたのが、財界の要求に応えた原発の維持・推進政策でした。

 同報告書は、「ただちに再生可能エネルギーで原子力による発電量分をカバーすることは、極めて難しい」と強調した上で(1)節電、省エネ(2)原発の稼働維持(3)LNG・火力発電の効率化(4)再生可能エネルギーの普及促進の「ベストミックス」を主張したのです。

 これは停止中原発の再稼働を求めて日本経団連が発表した「エネルギー政策に関する第1次提言」(14日)とうり二つのものです。同提言は「原子力の果たす役割は引き続き重要である」と強調した上で再生可能エネルギーを「高コスト」と攻撃。「エネルギーの新たなベストミックスを構築すべきである」と主張しました。

 なによりもこの「ベストミックス」論は、東京電力が「中長期的なエネルギー情勢に最も適した組み合わせを選択する『電源のベストミックス』を推進」としているように、電力会社自身が原発推進のために盛んにふりまいてきたものです。

 まさに「ベストミックス」という言葉が、原発推進の“合言葉”となっているのです。

 自民党も財界と同様に、再生可能エネルギーを先送りする立場ですが、原発に依存し続けてきた政治の遅れにこそ現在の電力供給の問題があります。

 この5年間で原子力対策に2兆円以上の税金をつぎ込む一方、自然エネルギーにはわずか6500億円でした。原発撤退を決断し、予算の使い方を抜本的に転換すれば、再生可能エネルギーの爆発的普及は可能です。

 自民党の谷垣総裁は福島原発事故の直後、「現状では(原発)推進はなかなか難しい状況なのは事実だ。今回の事故を総括、分析して新しい対応を打ち出したい」(3月17日の会見)などと述べていました。その一つの結論である今回の報告書が「新しい対応」だとしたら、あまりにも古すぎるといわざるをえません。 (松田繁郎)





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